「欧州の首都」に初の黒人首長 コンゴ難民が歩んだ道のり
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「これで35本目のインタビューです」
待ち合わせ場所に指定されたブリュッセル郊外のカフェで、先に到着した秘書の女性が少しうんざりしたように言った。私はこの日、10月中旬のベルギー地方選挙で国内初の黒人首長に選ばれたピエール・コンパニーさん(71)とインタビューの約束をしていた。
<ベルギー><コンパニー>と聞けばピンとくる人もいるかもしれない。長男のバンサンさん(32)は、サッカーのイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティーで活躍する世界的スター選手で、FIFA(国際サッカー連盟)ランキング1位のベルギー代表の支柱である。それゆえ選挙を終えた「コンパニーの父」に、国内外のメディアからインタビューの依頼が殺到するのは当然のことだった。
しかし私はどちらかといえば、「コンパニーの父」ではなく、コンゴからの難民として40年以上前にベルギーに渡った彼自身の来し方に興味をもっていた。待ち合わせ時間ちょうどに現れたピエールさんにその旨を伝えると、小さくうなずいて口元を緩めた。
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