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音楽の窓から世の中を眺めて

ジャーナリスト、江川紹子さんの音楽コラム。クラシックナビ連載。

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アイーダ・戦争と権力と宗教

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公演は10月20・21日、神奈川県民ホール大ホールで行われた (C)林喜代種
公演は10月20・21日、神奈川県民ホール大ホールで行われた (C)林喜代種

江川紹子 

 神奈川県民ホールで2日にわたって上演された「アイーダ」を鑑賞した。アンドレア・バッティストーニ率いる東京フィルハーモニー交響楽団によるスケールの大きな音楽と心にしみる美しいピアニシモにしびれ、情熱的で輝かしい福井敬ラダメスや細やかな表現の清水華澄アムネリスなど歌手陣も充実していて、実に幸せな2日間だった。

 ところで、私は大のアムネリスびいきで、ツイッターのアカウントも「@amneris84」という。一部には誤解もあるようだが、アムネリスは断じて悪女、猛女の類いではない。誇り高く、気品があり、心の機微にさとく、愛情深い女性だ。本来の彼女は、権力をかさに着る傲慢な女ではなく、敗者の娘(アイーダ)の悲しみを察し、目を掛ける優しさもある。そのアイーダに、愛するラダメスが思いを寄せているのではないか、と疑い…

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