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社説

日露首脳の領土交渉 共同活動が行き詰まった

 安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が1956年の日ソ共同宣言を基礎に北方領土交渉を進め、平和条約締結を目指すことで合意した。

     56年宣言は北方四島のうち歯舞(はぼまい)群島と色丹(しこたん)島の2島を平和条約締結後に日本に引き渡すと明記している。

     首相は記者団に「私とプーチン大統領で必ずや終止符を打つ」と語った。3年弱となった自民党総裁任期中に未解決の戦後外交に道筋をつける。その意欲を示した発言だ。

     56年宣言がクローズアップされたのは、プーチン氏が大統領に就任してからだ。2001年にその有効性を確認するイルクーツク声明に署名し、森喜朗首相が2島の返還と残る国後(くなしり)島、択捉(えとろふ)島の扱いを並行協議することを提案した。だが、交渉は後任の小泉政権になって停滞した。

     再び56年宣言をてこに交渉を動かそうとしたのが安倍首相だった。ただ、プーチン氏との首脳会談を重ねることで友好ムードを高めようとしたもののうまくいかず、いったん領土交渉を棚上げして北方領土での共同経済活動を先行させる方向へとかじを切ったのが、2年前だ。

     「新たなアプローチ」と呼ぶ手法だったが、日露双方の主権を侵さない制度はそもそも技術的に困難だった。そうした状況にしびれを切らしたプーチン氏が9月、「前提条件なしの年内の平和条約締結」を提案し、再び領土交渉への流れになったというのが、これまでの経緯だ。

     友好と信頼を醸成して交渉の環境を整えるアプローチが行き詰まった以上、現時点での共通の足場である56年宣言に立ち戻るのはやむを得ないだろう。

     だが、56年宣言を基礎にしても、なお大きな壁が立ちはだかる。

     プーチン氏はきのう、歯舞、色丹2島の引き渡しについて「どちらの主権の下になるか(宣言には)記されていない」と述べた。主権は今後の交渉で決めるという姿勢だ。

     ロシア側は2島が日米安保条約に基づき米軍の軍事拠点となることへの懸念も繰り返し示している。

     2島返還が決着しても残る国後、択捉の扱いは大きな問題だ。交渉の足場を失い、2島返還で打ち切りとなれば国内の理解も得られまい。有効な共同経済活動などの「プラスアルファ」の議論も出てこよう。

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