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社説

就労外国人 野党有志の対案 制度の欠陥がよく見える

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 外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案への対案を野党議員の有志がまとめた。

 現行の技能実習制度を温存する政府案に対し、これを廃止して新たな「外国人一般労働者受け入れ制度」を創設するのが柱だ。

 技能実習については、途上国への技術移転という建前と、人手不足対策で実習生を受け入れてきた現実とのゆがみがあらわになっている。

 低賃金や長時間労働などを理由に昨年は7000人以上の実習生が失踪した。現行制度上、実習先や職種を変える自由はなく、失踪者は不法残留者として扱われる。

 なのに政府案は、技能実習制度で日本語の会話力などを身につけた外国人が就労を目的とした新しい在留資格へ移行することを想定する。実習生の就労環境が改善される保証はなく、受け入れる地域社会の側にも不安定な制度が続く懸念が残る。

 野党有志の対案は、最初から労働者として在留できるよう日本語教育や社会保障などの受け入れ態勢を整備し、所管省庁の垣根を越えて生活支援に責任を持つ「多文化共生庁」(仮称)を創設するとしている。

 政府案でも法務省の入国管理局が「出入国在留管理庁」に格上げされるが、あくまで外国人労働者を管理対象に位置づけるものだ。受け入れ態勢の整備は後回しになっており、支援の視点が乏しい。

 対案は外国人労働者に家族の帯同を認める条件や、受け入れ人数の総量を規制する基準など、制度設計の肉付けには至っていないが、打ち出した方向性は理解できる。政府案と比較すれば、政府が導入を目指す制度の欠陥がよく見えてくる。

 残念なのは、この対案を国会に提出するめどが立っていないことだ。

 対案をまとめたのは中川正春元文部科学相ら旧民主党の有志が4年前につくった議員連盟で、メンバー38人は現在、二つの政党と無所属に分散している。国民民主党は国会提出に前向きだが、立憲民主党は対案を正式な法案の形に仕上げることにブレーキをかけている。

 対案提出が政府案の審議に協力する構図につながるのを立憲民主党は恐れているようだ。しかし、対案は重要な論点を提示しており、国会で丁寧に審議されてしかるべきだ。

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