メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

エンタメノート

国会「落語議連」設立騒動記(上) 進次郎氏「世の中、何でも許しちゃう」

落語議員連盟の設立総会後、談笑する(左から)桂米團治氏、三遊亭円楽氏、春風亭昇太氏、自民党の小泉進次郎氏、遠藤利明氏=東京都千代田区の衆院第一議員会館で2018年11月20日午前9時40分、藤井達也撮影

 落語の力で日本を楽しく--。小泉進次郎さんら自民党の国会議員による「落語を楽しみ、学ぶ国会議員の会」(落語議連)の設立総会が20日、衆院第1議員会館であり、テレビでもなかなか見られない、国会議員と人気落語家の「面白トークの応酬」となった。今後は超党派による議連を目指す。

落語家は「超党派」集結

 「落語議連が発足します。来ませんか」と突然、お誘いの連絡があったのは、元参議院議員で落語会を開くほど実は落語に詳しい、慶応大教授の松井孝治さん。しかも、設立総会には、落語協会の大ベテラン、柳家さん喬さんを筆頭に、「笑点」でおなじみの春風亭昇太さん(落語芸術協会)と三遊亭円楽さん(五代目圓楽一門会)、立川流の立川談四楼さん、そして上方落語協会副会長の桂米団治さんと、東西落語界の全5団体の人気者がそろう、こちらはすでに「超党派」のメンバーだ。

 国会議員の朝は早い。設立総会は午前9時から。勉強会に出てからかけつける議員もいるほど。一方、落語家の朝は遅い。議員会館に向かうと、大病から復帰したばかりの円楽さんが一番乗りでお待ちだった。円楽さんは午後はNHKの生放送があるという忙しさ。「体調いかがですか」「まだ完全じゃないけどね」

 談四楼さん、昇太さん、そして、さん喬さんと、朝のつらさも見せず師匠方が「楽屋」へ到着すると、この議連仕掛け人の一人で落語好きの小泉進次郎衆院議員が、あいさつに。さん喬さんに「落語家と噺家(はなしか)は何が違うんですか」と、さっそく質問をぶつけている。もちろん、師匠方も進次郎さんが寄席によく来ているのは知っている。なぜ進次郎さんは寄席に通うのか。この後、多くの人が実は勘違いをしていたことを進次郎さんは明らかにしてくれるのだが……。

平沢氏「座布団運びに出演させて」

 設立総会には約40人が出席。ベテランの河村建夫元文相ら文教族の大物も多数。司会の宮内秀樹衆院議員は、青山学院大落語研究会の元会長。ということは、円楽さんの後輩にあたる。軽妙なトークで先輩議員を盛り上げた。

 遠藤利明元五輪担当相は、先代林家三平さんの落語を聴いてハマったそうで、「なかなか寄席は行けませんが、笑点だけはほぼ欠かさず見てます」。

 林幹雄(もとお)党幹事長代理は「ダジャレが好きなもんですから、くだらないダジャレは“よせ、よせ”といわれるんですけど、“落伍(らくご)”しないように頑張ります」。

 平沢勝栄衆院議員は「選挙区の近くに浅草演芸ホールがあるので、時間があると行ってます。一番好きなのは黄色い方(林家木久扇さん)。私がいるのを見つけてくれると、必ずラーメンくれるんです。歌丸師匠に一度だけ笑点に出してくれとお願いしたら、座布団運びならいつでも、と。まだ実現していないので、ぜひお願いします」と昇太さんに直訴した。

 松本剛明元外相は、「年内にも落語を聞きに行きたいということで、まずは気心の知れた自民党の仲間とスタートしたが、楽しくという意味では超党派を目指したい」と話したところで、資料を配る。産経に掲載された若手人気真打ち、春風亭一之輔さんのコラムだ。

 <春風亭一之輔の直球&曲球>演説スキル以上に参考になる 政治家は落語の「芯」を理解して

 「一之輔さんも書いているが、私も小泉進次郎さんを上野・鈴本演芸場でお見受けしたことがある。私たちの思っていることを書いていただいた」とコラムに大変納得したようだ。

進次郎氏「政治、いやなこといっぱい」

 そして、小泉進次郎衆院議員。

 「よく誤解されるんですけど、私、寄席によく行ってること、落語が好きなことを知られてますが、大きな勘違いをされてるのは、私が演説を学びに寄席に行ってると思われていることです。そんな思いで行ってるわけではありません」

 やっぱり。進次郎さんの演説は実にわかりやすいが、落語口調ではない。なぜ、進次郎さんは落語にハマったのか。自ら明らかにした。

 「一番感じるのは、落語を聞いてると、世の中がなんでもよくなっちゃう、なんでも許しちゃうんです。そして、自分がストレスがたまったり、政治の世界っていやなこといっぱいあるじゃないですか(会場、笑い)。ちょっと心がささくれだってる時でも、落語を聞くと、きょうの嫌なことも結果としては良かったかもしれないとか、世の中のなんでも許しちゃう気持ちになる。とにかく、落語の魅力は、演説のスキルを学びに行ってるというのは、誤解とせまい理解で、一之輔師匠もこの会へのエールを書いてくださったけれど、これから多くの方と落語の真の魅力を共に味わい、共に広めたい。そして、世の中で一番うまい酒の一つは落語を聞いたあとの日本酒。そういう時間も共にしながら落語を広めたい。最後に、私の夢の一つは、将来、世界の賓客が来た時に、落語家の皆さんや紙切りの方が即興でやっていただけたら、大変驚かれるのではないかと思っている」

 進次郎さんも、嫌なことがあるんだとあらためて実感。そして、点線もないただの白い紙で、客の注文を短時間で切り抜く紙切りは、外国にはない芸能だ。「英語落語もありますよ」と米団治さん。落語、演芸の外国人への発信は、もっと可能性がありそうだ。【油井雅和】

自民「落語議連」設立騒動記(下)につづく

油井雅和

東京生まれ。早大卒。東京、大阪で、大衆芸能、笑芸、放送などを取材し、芸術選奨選考審査員、文化庁芸術祭審査委員などを務めた。沖縄好きで学生時代から通い、泡盛は糖質ゼロなので大好き。

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. ペイペイ、「100億円あげちゃうキャンペーン」を13日で終了
  2. 富田林署逃走その夜、留置場の当番警官「スマホでアダルト番組も見てた」
  3. 客や取引先から過剰なクレーム…広がる「カスタマーハラスメント」
  4. QRコード決済 ソフトバンク系ペイペイ、「奪首」へ100億円還元 競争激化
  5. はやぶさ2 リュウグウの新画像公開 小型探査ロボが撮影

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです