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縮む日本の先に

都市部への人口流入の陰で、地方は深刻な過疎化と高齢化に直面している。財政赤字に苦しむ国の支援には限界があり、地方が目指す未来には不透明感が漂う。人口減と向き合う自治体や住民の思いを交えながら、地方が存続するための処方箋を探る。

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「移民社会」の足音/6 実習生の待遇模索

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三共製作所の女性寮で食事を楽しむススマさん(右から2人目)ら外国人実習生たち=東大阪市で、望月亮一撮影
三共製作所の女性寮で食事を楽しむススマさん(右から2人目)ら外国人実習生たち=東大阪市で、望月亮一撮影

 「利き手で物も持てなくなった。将来のことを考えられない」。中国人技能実習生の黄世護さん(26)は自分の右手を見つめ、目を潤ませた。

 中国で仕事が見つからず、2015年12月に実習生として来日し、中部地方の段ボール製造業者で働き始めた。16年7月、厚紙を貼り付ける作業の最中、右手が機械に巻き込まれた。

 勤務先に退職を迫られ、断ると「警察に通報するぞ」と脅された。帰国すると渡航のため借金した60万円が無駄になってしまうため、岐阜県内の労組が運営する「駆け込み寺(シェルター)」に相談した。労組の援助で労災を認めてもらったが、復元手術を受けても親指以外の4本は今も曲がらない。「『技能実習』のはずなのに勉強させてもらえず、金も稼げなかった」。黄さんは顔をゆがめる。

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