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社説

米大統領のサウジ声明 真実より利益を優先した

 トランプ米大統領が看板とする「米国第一」とは、真実や正義より経済的利益を優先することらしい。

     トランプ氏は20日、トルコのサウジアラビア総領事館で起きたジャマル・カショギ記者殺害事件について声明を発表し、ムハンマド・サウジ皇太子の関与の有無は結局分からないだろうとの見方を示した。

     だから従来通りサウジと緊密な関係を保つのが国益にかなう。それこそ「米国第一」だとトランプ氏は主張したが、米紙によると中央情報局(CIA)はムハンマド皇太子が殺害を指示したと断定したという。

     トランプ氏は声明で、皇太子が殺害について知っていた可能性は大いにあると述べる一方、「知っていたかもしれないし、知らなかったかもしれない」とはぐらかすように語り、詳細には踏み込まなかった。

     これでは肩すかしというもので、早く幕引きを図りたいトランプ氏の意図が透けて見える。

     産油国サウジとの2国間関係を大事にしたいのは分かる。同国は米国のビジネスのお得意様であり、中東政策に関しても重要な国である。

     ただ、トランプ氏はサウジという国よりムハンマド皇太子個人をかばっているように見える。サウジを大切に思うなら、長い目で見て厳密に真相を究明すべきだ。目先の利益を優先した中途半端な調査や隠蔽(いんぺい)は米国の民主主義の汚点となり、健全な国際正義をゆがめてしまう。

     まだ30代の皇太子は国王になれば長く君臨する可能性がある。イスラムの聖地メッカ、メディナを擁する国で、為政者が恐るべき疑惑を引きずっているのは、国民にとっても世界のイスラム教徒にとっても不幸なことだ。疑惑は徹底的に解明しなければならない。

     声明の冒頭、トランプ氏は事件には無関係のイランを長々と非難した。だが、国際的な核合意を順守しているイランに制裁を科し、記者殺害への首脳の関与が疑われるサウジを懸命にかばう。そんな姿は米国の公正さへの信頼を失わせ、中東外交の偏りを浮き彫りにするだけだ。

     まずは米国の調査結果をきちんと発表する。全てはそこからだ。ムハンマド皇太子自身、自分は潔白だというなら、米国やトルコに調査結果の公表を勧めてはどうか。

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