江戸時代まで広く使用されていた調味料「煎り酒」が、再び注目されている。日本酒に梅干し、昆布やかつお節などのだしを入れて煮詰めたもので、食品メーカーから市販品も売り出されている。魅力や活用レシピを探った。
●うまみと酸味特徴
煎り酒はだしのうまみが強く、酸味のある味が特徴だ。歴史は古く江戸時代以前にまでさかのぼる。一般社団法人・日本家政学会食文化研究部会長の大久保洋子さんによると、江戸時代の料理書「料理物語」に作り方が記載されている。主な材料は、古酒と塩分濃度の高い梅干し、かつお節。大久保さんは「煎り酒は日持ちがしないため普及は難しく、使われる古酒も高級品だった。庶民に広く浸透していたのではなく、高級料亭に行ける階級の人々が味わうことのできた味だったと考えられる」と推察する。刺し身やなますの調味料として使われていたほか、煮物の味付けとして記載している史料もある。
江戸時代後期からは長期保存が可能なしょうゆが広く普及し、取って代わったと考えられる。煎り酒は日本料理店などでは使われてきたものの、一般家庭ではあまり知られていない「幻の調味料」だった。だが、近年、だしやしょうゆを主力商品とする食品メーカーが、相次いで家庭用調味料として発売。しょうゆやポン酢のようにそのままかけて使用でき、食材の味を引き立てる調味料としてじわじわと人気を博している。
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