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第94回センバツ高校野球

第94回選抜高校野球大会の特集サイトです。阪神甲子園球場での熱戦全31試合をLIVE配信します。

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新勢力図 秋季地区大会総括 明治神宮大会は札幌大谷V

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明治神宮野球大会高校の部決勝で、優勝し船尾隆広監督(中央)を胴上げする札幌大谷の選手たち=13日、宮間俊樹撮影 拡大
明治神宮野球大会高校の部決勝で、優勝し船尾隆広監督(中央)を胴上げする札幌大谷の選手たち=13日、宮間俊樹撮影

 来年3月23日に開幕する第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の出場校を選考する際の資料になる全国10地区の秋季大会が終了した。各地区優勝校が参加した明治神宮大会高校の部は札幌大谷(北海道)が初出場初優勝。北海道地区は神宮大会枠(1枠)を獲得し、出場枠が1から2になった。各地区の戦いぶりを振り返り、新たな勢力図を探った。(勝ち上がり図の丸数字はイニング、府県名の後の数字は府県大会順位)

初出場で

 札幌大谷が初出場で頂点に立った。打線は決勝で逆転打を放った北本、打率6割の釜萢の1、2番を中心に振れていた。決勝で1失点完投の大型右腕・西原、準決勝で八回まで無安打投球の右横手・太田らタイプの異なる投手をそろえた。

 星稜はエース右腕・奥川が140キロ台後半の直球にフォークを交え、15回余りを投げて1失点。右腕・荻原、左腕・寺沢も控え、投手層が厚かった。高松商は2試合で21安打としぶとく打ち、筑陽学園は救援の右腕・西舘が力投した。【安田光高】


 ◆北海道

札幌大谷 10年目で

 準決勝、決勝と4点差を逆転した札幌大谷が創部10年目で初優勝を果たした。チーム打率3割1分3厘は4強で最低だが、打線に切れ目がなく、集中打が光った。全4試合登板の右横手・太田は制球力に優れ、打者の内角を突くマウンド度胸も十分。背番号1を背負う184センチ右腕・西原が復調すれば厚みを増す。

 準優勝の札幌第一は2本塁打の4番・村田らを中心に長打力があり、得点力も高い。投手陣は4人の継投で戦う。左腕・畠山を除いて似たタイプの右投手がそろうのが弱点だ。4強の駒大苫小牧はチーム作りが遅れ、右腕・綿路ら1年生投手が主体。打力はある一方、6失策と守備に課題を残した。公立校で唯一4強入りした釧路湖陵は、Kボール全国大会経験者をそろえてまとまりがある。【和田崇】

 ◆東北

八戸光星 右腕安定

 5年ぶりに優勝の八戸学院光星は投打に強さを見せた。右腕・後藤は準々決勝、準決勝と2試合連続完投。スライダーを軸にした投球に安定感があった。決勝では五回1死一、三塁で救援し、後続を断つなどピンチで粘り強さを発揮した。打線は中軸に長打力のある武岡、近藤が座り、6番・下山は5割を超す打率をマーク。勝負強さもあった。

 準優勝の盛岡大付は4試合で45安打と打線が活発。どこからでも好機を作り、得点につなげる怖さがあった。左腕・阿部は決勝こそ四球を契機に失点を喫したが、大会を通しては低めを意識した投球が際立った。

 2回戦で7点差、準々決勝で5点差からそれぞれ逆転勝ちして4強に入った花巻東、エース・千坂の踏ん張りでベスト4に進んだ古川の健闘も光った。【村田隆和】

 ◆関東

桐蔭学園 24年ぶり

 桐蔭学園が粘り強い戦いで24年ぶりに復活した。3番・森は1回戦の逆転サヨナラ満塁本塁打など3本塁打を放ち、計12打点と大活躍。打線は決勝の一回の6連続長短打など集中打が目立ち、7盗塁と機動力もあった。4投手が登板し、技巧派左腕・伊礼が2試合に完投して軸になった。

 準優勝の春日部共栄は右腕・村田が140キロ前後の直球とスプリットを武器に3試合連続完投し、4番打者としても活躍。村田の前後を打つ平尾と石崎も勝負強かった。4強の山梨学院は2試合連続2ランの4番・野村ら強力打線が特色。同じく習志野は最速145キロ右腕・飯塚が計14回余りで自責点ゼロと好救援した。横浜は左腕・及川の快速球が目を引いた。佐野日大・松倉、前橋育英・梶塚の両右腕は1回戦で好投した。【来住哲司】

 ◆東京

国士舘 継投の勝利

 国士舘が10年ぶりの頂点に立った。突出したエースはいないものの、右腕・白須は先発、背番号1の右腕・山崎と左腕・石橋は救援と役割を明確にし、6試合全てを継投で勝った。打線も準々決勝まで4試合連続2桁安打を放ち、3番・冨田のパンチ力や4番・黒沢のスイングが目を引いた。

 準優勝の東海大菅生は左腕・中村晃が5試合に先発して1完封を含む4完投。切れのいい直球とスライダー、チェンジアップで両サイドを突く制球が光った。打線も6試合で14盗塁と機動力を生かした攻撃を見せた。

 4強の早稲田実は右腕・伊藤が全5試合に先発し、準々決勝では公式戦初本塁打も記録するなど投打に活躍。東亜学園は5試合で25失点と投手力に課題を残したが、打線は36得点と好機を確実に生かした。【平本泰章】

 ◆東海

東邦 全戦2桁安打

 3年ぶり頂点に立った東邦は全3試合で2桁安打と強打が光った。今春の甲子園で中軸だった3番・石川が初戦の2回戦で右中間満塁本塁打を放ったほか、下位打線も長打力を備え、機動力もある。準決勝では九回1死まで5点のリードを許しながら追いつき、粘り強さもあった。

 準優勝の津田学園は右腕・前が大黒柱。140キロ前後の直球とスライダーを武器に3試合で完投した。4番・前川が3試合連続本塁打と力強さが際立った。2年連続4強の中京学院大中京は左腕・不後-強肩捕手・藤田のバッテリーを中心に安定感のある戦いぶり。中京大中京は救援登板した1年生右腕・高橋に球威があった。3連覇を狙った静岡は1回戦、今春センバツ4強の三重は2回戦でいずれもコールド負けした。【藤田健志】

 ◆北信越

星稜 150キロ快腕注目

 投打ともに力強かった星稜が24年ぶりに制した。最速150キロ右腕・奥川は全5試合中4試合に先発し、計33回を投げて自責点ゼロ。控えの速球派右腕・荻原も安定感があった。打線は1年生の4番・内山を軸に計46安打と切れ目がなかった。

 創部7年目の啓新は粘り強さが光った。1回戦と準決勝は逆転勝ち。決勝は2点差を八回に追いつき、延長十五回引き分け再試合に持ち込んだ。エース右腕・安積から右横手・浦松につなぐ継投パターンを確立し、接戦を勝ち上がった。4強の上田西は打力が売り物。準決勝では失策絡みで逆転負けしたが、俊足巧打の1番・斎藤を中心に準々決勝までの2試合で計17得点を奪った。東海大諏訪は準決勝の星稜戦で4安打完投したエース右腕・横田の制球の良さが光った。【石川裕士】

 ◆近畿

龍谷大平安 好左腕

 5年ぶりに優勝の龍谷大平安は左腕・野沢が原動力になった。130キロ台の直球とチェンジアップを低めに集め、延長十二回完投勝ちした決勝を含めて全4試合で26回を投げ、自責点1と安定。打線はチーム打率2割8分1厘と4強で唯一の2割台ながら、4番・水谷、1年生の5番・奥村がそれぞれ5打点と中軸が勝負強かった。

 準優勝の明石商は右腕・宮口が切れのあるスライダーで26回余りを投げ、防御率0・34と好投した。打線は3番・重宮を中心によく振れており、全4試合で2桁安打と切れ目がなかった。4強の履正社は140キロ前後の直球を投げる左腕・清水が目を引いた。智弁和歌山は9番・綾原が7打点。今夏の甲子園で春夏連覇を達成した大阪桐蔭は8強止まりだった。【安田光高】

 ◆中国

広陵 手堅く12犠打

 広陵が投打に高いレベルを見せて12年ぶり11回目の頂点に立った。打線は5番・宗山ら中軸が勝負強く、チーム打率3割6分6厘。全4試合で12犠打と手堅く、ヒットエンドランやバスターなど機動力や小技を絡める攻撃も目立った。投手陣では最速147キロのエース右腕・河野、変化球が切れる左腕・石原とタイプの異なる投手の継投が奏功した。

 23年ぶりに決勝進出した米子東は4番・福島悠が9打点と部員16人のチームを引っ張った。守備に課題を残すが、切れ目のない打線でカバーした。4強の呉は右腕・沼田仁が全試合で完投。打たせて取る技巧派で、変化球の制球が良かった。創志学園は今夏の甲子園で活躍した右腕・西が投打の柱で、最速150キロを計測するなど健在を示した。【長宗拓弥】

 ◆四国

高松商 単打つなぎ

 投打のバランスが取れていた高松商が3年ぶりに優勝を飾った。打線は長打力こそないもののスイングが鋭く、全3試合で計35安打。足を絡めながら、単打でつないで得点した。エース左腕・香川は130キロ台後半の直球にチェンジアップやスライダーなどを織り交ぜ、緩急をうまく使った。四球の多さが課題だが、走者を出しても粘り強く投げられる。

 準優勝の松山聖陵は長身右腕・根本らの継投が基本だが、1年生右腕・平安山は2回戦でスライダーと直球を主体に1失点完投した。チーム打率2割6分4厘の打線は爆発力はないが、集中打が光った。4強の高知商は真城、赤沢の両右腕の二枚看板で、粘り強い戦いぶりだった。同じく富岡西は4番・浮橋を中心に積極的な打撃で勝ち上がった。【丹下友紀子】

 ◆九州

筑陽学園 勝負強く

 初優勝の筑陽学園は競り合いで強かった。1回戦でサヨナラ勝ち、準々決勝は延長十三回タイブレーク、準決勝も延長十二回を制し、決勝は5点差を逆転した。右腕・西舘は緩急を巧みに使い、4試合で防御率1・00。準々決勝では完封した。

 明豊は全4試合で2桁安打と攻撃力が高い。1番・野上、2番・宮川の1年生コンビが安打を量産し、4番・野辺と5番・藪田は本塁打を放った。1年生のエース左腕・若杉は安定感があった。4強の大分は右腕・長尾が全3試合を完投して防御率1・86。低めへの制球が抜群だった。日章学園はけがを抱える4番・平野を含めて打力が光った。8強では興南の左腕・宮城が2試合に登板して計21回を投げ、防御率0・86、27奪三振と迫力ある投球を見せた。【吉見裕都】

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