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中村桂子・評 『地球46億年 気候大変動 炭素循環で読み解く、地球気候の過去・現在・未来』=横山祐典・著

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 (講談社ブルーバックス・1296円)

考えるべき気候変動のリスク

 四〇度近い猛暑がやっと終ったと思ったら、大きな台風で近くの公園の大木が倒れるなど、なんだか最近の気候は荒々しい。気候を変動させる要因はなにか。知りたくて読み始めた。最近の研究から話を始めよう。

 今年四月、『ネイチャー』に「北大西洋の海洋熱塩循環が一五%弱くなっている」という論文が二つ掲載された。北大西洋グリーンランド沖でアマゾン川の一〇〇倍量の海水が深海に沈み一〇〇〇年かけて世界一周する熱塩循環が、赤道や中緯度帯で生じた余剰熱を高緯度帯に運び地球全体の気候を穏やかにしている。これが弱まるとヨーロッパは寒冷化し、中国・日本の季節風が影響を受けて干ばつや洪水につながるのである。

 論文の一つは人工衛星による過去数十年間の記録(ドイツ)を用い、他は「同位体温度計」(後で説明)を用いた過去一〇〇〇年間の記録(英・米・カナダ)を用いた。異なるデータから同じ結果が導かれたのだ。両チーム共原因はグリーンランド氷床の融解による表層水塩分の低下としている。

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