メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今週の本棚

松原隆一郎・評 『神戸 闇市からの復興 占領下にせめぎあう都市空間』=村上しほり著

 (慶應義塾大学出版会・4536円)

 「闇市」といえば、スクラップ・アンド・ビルドで再開発されたビル群の隙間(すきま)を縫うようにして点在する路地を思い起こす。東京では藤木TDCの『東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く』(実業之日本社)が活写したような、たとえば新宿駅沿いの「思い出横丁」(俗称・ションベン横丁)や吉祥寺駅北口前の「ハモニカ横丁」である。それらはいまなお店舗が営業中で、外国人観光客をも集めて活況を呈しているが、一方で渋谷の宇田川町のように名残りすら残さないものもある。

 対照的なのが神戸である。本書が注目する「闇市」は、そのものはたった一年間で失われた。それでいて、お洒落(しゃれ)な都市空間に亀裂のような痕跡を残したというのだ。それが終戦直後に現JR三ノ宮・元町間の一・二キロメートルにわたる鉄道高架下や南側舗道・緑地帯に出現し、「日本一」の盛況を誇った「三宮自由市場」である。著者はその成り立ちや消滅、その後のゆくえを精密に描いている。

この記事は有料記事です。

残り1068文字(全文1493文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 犬の散歩中、男性はねられ死亡 運転の大学生「LINE来たのでスマホを」

  2. 出た!大阪・梅田で人骨1500体超 別の場にもウメタ?埋葬想定より遅い江戸~明治

  3. 東京・足立の住宅に500人分の人骨 標本業者が放置か

  4. 見えたー! ペルセウス座流星群がピーク迎える 天の川と「競演」

  5. 世界の雑記帳 死亡した英男児の棺が空と判明、遺体の扱いに疑念の母親が真実追及

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです