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社説

就労外国人 韓国の試行錯誤 学ぶべき点は大いにある

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 世界では労働者の獲得競争が起きている。東アジアでとりわけ積極的なのが韓国だ。

     もともと韓国は外国人労働者の受け入れに消極的な国だった。しかし、中小企業などで働くのを避ける人が多くなり、少子高齢化の影響もあって受け入れを始めた。

     日本の例を参考に1993年に導入されたのが「産業研修生制度」だ。ところが、研修とは名ばかりで、労働が過酷だったため失踪者が続出し、不法滞在者の急増が社会問題化した。今の日本の技能実習制度と似たような状況が生まれた。

     こうした制度の問題点に気づくのが韓国政府は早かった。2004年、政府が外国人労働者の受け入れを主導する新たな制度に切り替えた。それが「雇用許可制」だ。

     まず労働者の送り出し国との間で、2国間協定を結ぶ。悪質な業者を排除し、安定的に労働力を確保するためだ。韓国政府は各国に出先機関を置き、労働者の受け入れに当たるため、相手国もその信用の下で労働者を送り出せる。現在、締結国はベトナムなど16カ国に上る。

     労働者の募集や送り出しの段階まで政府機関が責任を持つ韓国の取り組みに学ぶべき点は大いにある。

     日本の入管法改正案では、どのような業種でどの程度の人数の労働者を受け入れるのかは政府が決める。だが、政府の関与はそこまでだ。

     実際に労働者を受け入れるのは、当該企業と、業界団体などが担う予定の登録支援機関だ。これでは仲介料目当ての悪質な人材ビジネス業者が介入する懸念が残る。

     さらに、韓国では、韓国語教育を政府の責任で実施している。伝統や文化の講座を開くなど、いわゆる社会統合政策にも取り組んでいる。欧州で外国人労働者の受け入れ数が多いドイツも政府が600時間以上の語学教育を保障している。

     韓国にも課題はある。就労期限が過ぎても帰らない不法残留者の問題や、労働者が原則として企業を選べないという制約などがそれだ。それでも、外国人労働者の受け入れ問題を入管制度の枠内に押しとどめようとする日本の姿勢とは異なる。

     賃金面での日本の優位性は揺らいでいる。自己都合に固執していては、労働者に選ばれない国になる。

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