加古里子さん遺作 「子供に伝える」それが私の使命 戦争体験への悔い、創作へ執念
毎日新聞
2018/11/27 東京夕刊
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「だるまちゃん」シリーズなど約600冊を世に送り、5月に92歳で死去した絵本作家の加古里子(かこさとし)さん。今月、遺作の科学絵本「みずとは なんじゃ?」(小峰書店)が刊行された。創作の過程をたどると、病と闘い、亡くなる寸前まで完成に執念を燃やした壮絶な作家の姿が浮かんだ。【宇多川はるか】
絵本では暮らしに欠かせない身近な水の役割を紹介し、気体や固体に変化することや、ヒトや動植物の体を形作っていることを説明。太陽の光と熱で起きている地球の水循環にも触れ、ひらがなと絵だけだが、ページをめくるたびにぐんぐん視野が広がる。
化学メーカーの昭和電工で研究者だった加古さんにとって、実験に使う「水」は描きたいテーマだった。「幼い子供さんに身の回りにある不思議を感じてもらいたい」という提案で企画が始まったが、創作は50代で発症した緑内障による視野喪失との闘いだった。
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