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社説

ポイント還元5% 常軌を逸した過剰対策だ

 常軌を逸した大盤振る舞いと言わざるを得ない。来年10月の消費増税を控えて、政府が骨格をまとめた景気対策のことである。

 とりわけ問題が大きいのは、対策の柱と位置付けるポイント還元制度を巡り、安倍晋三首相が還元率を大幅拡大する方針を示したことだ。

 中小店舗で現金でなくクレジットカードなどで払った客を対象にするもので、還元率を当初予定していた2%から一気に5%にするという。

 まず増税の目的を薄めてしまう。

 還元率5%なら消費税率は実質5%と減税になる。増税の本来の目的は、負担の先送りに歯止めをかけることである。目先の景気に使えば、それだけ先送りされる分が増える。

 景気対策としても疑問が多い。

 ポイント還元による消費喚起は、将来の需要の先食いである。還元率を拡大すると、その分だけ還元終了後の消費落ち込みも大きくなる。

 還元期間は東京五輪までの9カ月間とするという。終了後の消費落ち込みが、五輪後に懸念される景気停滞と重なる恐れがある。悪化を増幅させると、増税前後の景気をならすという景気対策の趣旨に反する。

 大手スーパーなどは対象外だ。消費全体を底上げせず、消費者が大手から中小に流れるだけだろう。

 自民党の対応も釈然としない。岸田文雄政調会長は「体力のある大手は安売り競争できるが、中小は値引きできない」と首相を擁護した。だが中小企業の支援や強化は本来、景気対策とは別に取り組むべきだ。

 岸田氏は財政健全化を重要課題に挙げてきた。首相が還元率5%を表明したのは、岸田氏と会談した時だ。首相をただすのが、岸田氏の役割だったはずである。

 増税時に一定の景気対策は欠かせない。ただ、政府は「景気は緩やかに回復しているとの認識に変わりはない」との見解を示している。ならば増税の目的を損なってまで、対策を積み増す必要はないはずだ。

 対策には、購入額以上の買い物ができるプレミアム商品券の発行や公共事業の実施といった歳出拡大のメニューが並ぶ。来年の参院選目当てと受け止められても仕方がない。

 政府は、年末の来年度予算編成で景気対策を決定する。対策は効果を吟味して厳選すべきだ。

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