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本郷 和人・評『モスクへおいでよ』瀧井宏臣・著

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なぜこんなにも急速に16億人の心をつかんだか

◆『モスクへおいでよ』瀧井宏臣・著(小峰書店/税別1500円)

 伝統ある宗教は人間の深奥を探求する哲学を内包していることが常であり、私たちに多くのことを教えてくれる。だがそれが宗教である以上、最終的な局面ではどうしても「信じるか、信じないか」の二者択一を迫ってくる。子どもの頃から科学的思考による教育を受けてきた現代の日本人には、これがつらい。

 もう一つ、私たちは長い間、多神教の社会で生きてきた。生まれたときのお宮参りに始まり、クリスマスを楽しみ、初詣に出かけ、チャペルで神に愛を誓い、やがて葬式では仏さまの世話になる。神社仏閣では自然に頭を下げるし、パワースポットを巡ったりもする。特定されない「人間以上の存在」を敬うことは身についているが、一神教の神さまに「私だけを信じよ」と求められるとたじろいでしまう。とくにイスラム教となると、過激派…

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