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社説

蔡英文政権と台湾地方選 不透明になった再選戦略

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 4年に1度の台湾の統一地方選で蔡英文(さいえいぶん)総統が率いる与党・民進党が大敗し、蔡氏は党主席を辞任した。過去2年余の蔡政権の実績に厳しい評価が突きつけられた形だ。

 2020年1月の次期総統選に向けた蔡氏の再選戦略の行方も不透明になった。中国が弱体化した蔡政権への圧力を強め、台湾海峡情勢が不安定化する事態が懸念される。

 台北、高雄など六つの直轄市を含む22県市の首長選の行方が焦点だったが、民進党が押さえた県市が13から6に半減する一方、野党・国民党は6から15に増やし、圧勝した。

 蔡氏は就任以来、過去の国民党一党支配時代の「負の遺産」解消を目指した政策や「脱原発」政策などリベラル色の濃い改革を進めてきた。

 国民党の不当資産を洗い出す委員会を設置し、優遇されてきた公務員や軍人の年金改革を実現したが、既得権益層からは猛反発を受けた。

 中台関係は現状維持を基本にしつつ、中国が求める「一つの中国」の承認には応じず、政治対話がストップした。中国は外交圧力を強め、パナマなど5カ国が台湾と断交した。

 中国の締め付けで中国人観光客が減少するなど経済に影響が出る一方、独立志向の強い民進党支持層の一部はより強硬な対中姿勢を求め、蔡氏の方針に不満を高めた。

 国民党は勝利したとはいえ、支持率は低迷している。蔡氏への期待感が薄らぐ中、約5割を占める無党派層が閉塞(へいそく)感を募らせ、与党批判に回ったことが国民党を利した。

 民進党が20年も市長ポストを握っていた高雄市で当初は泡沫(ほうまつ)扱いされた国民党候補が当選したのが象徴的だ。庶民的な率直な物言いや経済再生に絞った主張に人気が集まった。

 民意がバランス感覚を示し、政治に緊張感を与えるのが民主主義だ。民主化が定着した台湾の民意を尊重したい。

 中国は対立する蔡政権の敗北を歓迎しているようだが、台湾世論が中国の圧力に屈したわけではない。力の誇示が台湾の中国離れを促してきた歴史を忘れるべきではない。

 同時に行われた住民投票では福島など日本の5県産食品の禁輸継続を求める意見が多数を占めた。2年間は禁輸が続くが、科学的根拠を示して台湾住民の理解を得たい。

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