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論点

「1968年」の遺産

笠井潔 作家、評論家

 フランスで学生らが社会変革を要求した「五月革命」や日本の全共闘運動など、世界各国で若者たちが抗議の声を上げた1968年から半世紀。運動はロックなどの音楽やファッションにも多大な影響を及ぼし、欧州では今の国政にも余波が及ぶ。「68年」が現代に残したものは何か。あの時代の残影を考える。【聞き手・鈴木英生】

 私も参加した日本の「68年」の運動には、戦後民主主義的な平和運動の最左派、暴力革命を呼号した「過激派」の運動、新しい市民運動の源流--などさまざまな側面があった。強調したいのは、人間の実存やアイデンティティー、精神的飢餓感、今でいうところの(何かに認められたいという)「承認欲求」を原動力に急進的で大規模な社会運動が生じた、おそらく世界初の出来事でもあったことだ。

 「68年」の大学生らには大別して二つのパターンがあった。一つは、左翼的な中高教師の薫陶を受けた優等生がベトナム戦争や日米安保を批判し、徹底した平和主義を志向するようになったものだ。その延長線で「資本主義によっては真の平和は実現できない」と考え、マルクス主義に傾倒して暴力革命を志した。近年、集団的自衛権の行使容認などに批判的な論陣を張った「68年」世代の識者らは、彼らの今の姿の一例だ。

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