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社説

イタリアの放漫予算案 ユーロ安定への責任欠く

 イタリアの来年度予算案に、欧州内外から強い関心が集まっている。ばらまき色が濃く、財政悪化につながりかねないとして欧州連合(EU)から突き返された予算案だ。

     修正しEUの承認を得られなければ、ユーロ史上初の制裁金が科せられる事態になりかねない。

     イタリアのコンテ政権からは、一定の妥協を示唆する声も出始めた。打開への期待から、イタリア国債の利回りは一時期より低下している。

     しかし、一過性の対策によるごまかしは通用しまい。EUと激突のコースを進むのは危険で無責任だ。

     ギリシャ危機が示したように、大規模な金融不安へと進展してからでは痛みが大きくなる。ユーロそのものの存続も揺るがす危険をはらむ。

     イタリア政府には、速やかに財政健全化へとカジを切ってほしい。

     ユーロには、円やドルなどと決定的に異なる点がある。19もの主権国家が共有していることだ。一国でも放漫財政に走れば、その影響はユーロ加盟国全体に及ぶ。

     一方、財政破綻に直面した他国の救済には、各国世論の根強い抵抗がある。放置も支援も困難な窮地に陥り、危機を深めてしまう。

     財政ルールを設けているのはそのためだ。加盟国は、財政赤字や債務残高の国内総生産(GDP)比を一定値以下に抑えねばならない。

     その上限を大きく逸脱しているのがイタリアだ。債務残高はGDP比132%と、上限である60%の2倍超で、ユーロ加盟国中、ギリシャに次ぐ深刻さである。

     ところが、コンテ政権は改善を目指すどころか、財政赤字が従来目標の3倍にもなる予算案を作成した。

     手遅れになる前の軌道修正が不可欠だが、難しい国内事情もある。

     大衆迎合的な現政権に、「貧困対策」としてばらまき型の財政方針を掲げ発足した経緯があることだ。

     与党が選挙公約を守ろうと努力すること自体、不思議ではない。だが、人気取り政策の結果、長期に及ぶ経済混乱を引き起こすようでは元も子もない。最も辛酸をなめさせられるのは貧困層なのだ。

     イタリアは欧州統合を推進してきた中核国の一つである。統合の成果であるユーロを守る重い責任も負っていることを忘れてはならない。

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