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余録

「詳細については口伝であり、諸説があって…

 「詳細については口伝(くでん)であり、諸説があって、最も秘すべきことがはなはだ多い」。鎌倉時代の後伏見(ごふしみ)天皇がこう記した大(だい)嘗(じょう)祭(さい)である。天皇の代替わりにあたり、新天皇が即位の後に行う一代一度の大祭である▲天(あま)照(てらす)大(おおみ)神(かみ)と天神地祇(てんしんちぎ)に新穀を献じ、共に食べる祭儀というが、その核心は今も秘密とされている。そんな宗教性のために戦後の皇室典範に明記されなかったが、平成の大嘗祭は22億円以上の公費をかけ皇室の公的行事として行われた▲新天皇の即位にともなう来秋の大嘗祭も、この平成の大嘗祭を踏襲する形で行うことを決めた政府である。そこに飛び出した秋篠宮(あきしののみや)さまの発言だった。宗教色の強い大嘗祭は公費でなく皇室の日常生活費で行うべきだとの考えである▲儀式の規模も「身の丈にあった儀式」が「本来の姿」だと巨額経費を疑問視した。驚いたのは「聞く耳をもたなかった」との強い言葉だ。これらの意見に取り合わなかった宮内庁長官のことである。政府とのパイプは詰まっていたのか▲政府の方針に皇族が異を唱えるのは「政治的発言」と心配する声もあるが、憲法上制約のない皇族の皇室儀礼をめぐる発言だ。代替わりによる国民の負担は少なくしたいという天皇陛下と皇太子さまのかねての意向も思い起こされる▲今にして思えば、即位儀礼などについても十分な国民的議論をする時間のあった来年の代替わりである。論議なき前例踏襲への懸念を皇族が口にせねばならないとは……虚を突かれた主権者=国民である。

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