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警察庁

飲酒後に電動車いす「禁止」に障害者団体「差別」

=警察庁ホームページより

安全の手引で呼び掛け 専門家「根拠データを示すべきだ」

 警察庁が飲酒後に電動車いすを利用しないよう安全の手引で呼び掛けていることに対し、障害者団体が「差別に当たる」と記述の削除を求めている。電動車いすは道路交通法上、「歩行者」として扱われるためだ。30日の衆院厚生労働委員会でも「社会的障壁になりかねない」と指摘されたが、警察庁は事故が起きていることを踏まえ、応じない考え。専門家は「警察庁は根拠となる明確なデータを示すべきだ」と話す。【成田有佳】

     手引は警察庁が2002年度に作成し、ホームページで公開している「電動車いすの安全利用に関するマニュアル」。電動車いすには高齢者が使うシニアカーも含まれ、普及に伴って交通事故が増えたため、有識者の意見や事故事例などを基にまとめた。酔ってシニアカーに乗る男性のイラスト付きで「飲酒等して利用することは絶対にやめましょう」などと呼び掛けている。

     車いす利用者が外出先で酒類の提供を断られる事例が相次いだのを受け、96の障害者団体でつくるNPO法人「DPI日本会議」(東京都千代田区)は8月、手引から飲酒などに関する記述を削除するよう求める要望書を警察庁に提出した。要望書は「電動車いすを利用する身体障害者の多くは電動車いすなしでは移動はできない」とした上で、手引について「飲酒した時はどこにも行くなということと同じ」と批判。「道交法上は歩行者なのに、電動車いす使用者にのみ飲酒を禁止することは、障害者差別解消法の不当な差別的扱いに当たる」と訴えた。

     警察庁交通局によると、電動車いすと車両の事故は12~17年に年間155~215件、手動車いすは62~101件あった。このうち電動車いす利用者が酒を飲んだ状態だったのは年間0~5件、手動は0~3件だった。しかし、電動の自損事故や歩行者との事故は、河川や水田に転落して死亡したケースを把握しているものの、網羅した統計はないという。

     30日の衆院厚労委では、国民民主党の岡本充功氏が「(手引が)障害者の社会参加の障壁になりかねない」として同庁の見解をただした。高田陽介官房審議官は「少量のアルコールでも判断や操作を誤らせる恐れがある」と述べ、呼び掛けを続ける考えを示した。

     車いす利用者で、内閣府の障害者制度改革の担当室長を務めた弁護士の東俊裕・熊本学園大教授は「飲酒した歩行者の事故と、車いす利用者の事故を比較するなどして根拠を示さなければ、警察庁の呼び掛けに正当な理由があるとは言えない」と指摘している。

    電動車いす

     電気で動き、手元のレバーで操作するタイプや、高齢者向けに作られた3輪や4輪でハンドルがあるカート型の「シニアカー」タイプなどがある。道路交通法では長さ120センチ、幅70センチ、高さ109センチを超えず、最高時速が6キロ以下であれば車両ではなく歩行者とみなされる。

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