メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今週の本棚

若島正・評 『カルパチアの城 ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密』=ジュール・ヴェルヌ著、新島進・訳

 (インスクリプト・4536円)

決定版と言える書物

 『八十日間世界一周』『地底旅行』『海底二万里』といった、今でも読み継がれている作品の著者としてあまりにも有名なジュール・ヴェルヌに、<驚異の旅>という連作シリーズがある。一八六六年から刊行が始まり、死後出版されたものも含めれば、長篇だけで六十作を超えるというとてつもないスケールのこのシリーズは、当時のフランス読書界のみならず、後の時代のさまざまな国の人々にも、大きな刺激を与えてきた。しかし残念ながら、このシリーズは約半数が未訳のままで、わたしたちにはなかなか全貌をつかむ機会がなかった。現在刊行が進行中の、「ジュール・ヴェルヌ<驚異の旅>コレクション」は、こうした現状を変えようとする試みであり、初版時の挿画も完全収録し、詳細な注釈を付すなど、決定版と言える書物に仕上がっている。全五巻のうち、第三回配本として出たこの『カルパチアの城 ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密』は、中期を代表する作品の一つであり、トランシルヴァニアを舞台にしているところから、ブラム・ストーカーが『ドラキュラ』のヒントをそこから得たのではないかとしばしば言われている「カルパチアの城」と、死後出版された作品で、ヴェルヌがH・G・ウェルズの『透明人間』に対抗心を燃やしたと思われる「ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密」の二作をカップリングする…

この記事は有料記事です。

残り881文字(全文1468文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 石破氏、桜を見る会「招待枠あった」 自民の役職在任時 

  2. 和歌山の新図書館、来年4月オープンへ 1階にスタバ、蔦屋書店も

  3. 富山・朝日町教委、竹田恒泰氏講演中止 「教育勅語広める」授業に批判

  4. ORICON NEWS 池田エライザ、胸下ロングヘアで印象ガラリ 「幼く見える」「だれかわからへん」

  5. 「桜を見る会」参加の山口県議ら、ブログ削除相次ぐ

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです