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社説

米中首脳会談で一時休戦 対立の根は残ったままだ

 最も心配された米中両大国の全面対決はひとまず回避された。だが対立の根本的構図は残ったままだ。

     米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席が会談し、貿易戦争を一時休戦することで合意した。米国は来年1月に予定していた対中制裁関税の強化を猶予するという。

     今回の首脳会談は、米中の緊張が極度に高まる中で行われた。

     トランプ氏は会談が不調に終われば、制裁を中国からの全輸入品に広げる考えもちらつかせていた。米中が全面的な貿易戦争に突入すると、世界経済への打撃も深刻になる。

     さらに首脳会談の直前、ペンス米副大統領は「インド太平洋に帝国の居場所はない」と中国の軍事力拡大を批判した。首脳が決裂すれば、安全保障でも鋭く対立する「新冷戦」の引き金になるとの懸念もあった。

     こうした最悪の事態に陥るのを避けたのは、米中にもマイナスに働くとの判断があったからだろう。高関税の応酬で中国は景気が停滞し、米国も株価が不安定になっている。

     もっとも今回の会談は、両国の根深い問題を先送りしたに過ぎない。

     米中は、米国が批判している中国の知的財産権侵害などを巡る交渉を始めることで合意した。だが90日以内に合意できなければ、米国は制裁関税強化に踏み切るという。

     対立の根底には、国家の安全保障にも直結するハイテク分野を巡っての米中の覇権争いがある。

     中国は国家主導でハイテク強化を図っている。米国は、中国が米国の先端技術を不当に奪って次世代産業を育成し米国の覇権を脅かそうとしている、との危機感を抱いている。

     米国は制裁で脅して自国に都合のいい譲歩を引き出したいのだろう。日本や欧州に開始を迫った貿易交渉と同じ手法だ。「米国第一」を振りかざす保護主義はやめるべきだ。

     中国による知的財産権の侵害は、日欧も批判してきた。中国も問題にきちんと向き合う必要がある。

     米中は大国として世界の経済成長と安全保障に責任がある。今後の交渉で対立の緩和に努めるべきだ。

     日本は来年の主要20カ国・地域(G20)首脳会議で議長国を務める。今年の宣言は米国の反対で「反保護主義」を盛り込めなかった。米中を仲介し協調を立て直す責任は重い。

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