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初の障害者限定の国家公務員採用試験 申し込み始まる

 中央省庁の障害者雇用水増し問題を受け、政府が初めて実施する障害者限定の国家公務員採用試験(統一選考試験)の受け付けが3日始まった。11月27日に開催された29府省庁合同の説明会には定員の300人を超える申し込みがあり、関心の高さをうかがわせたが、障害者を採用している民間企業からは「人材の取り合いになるのでは」といった懸念の声が上がっている。

 雇用水増し問題の発覚を受けた再調査で、中央省庁の実際の雇用率は1.18%(昨年6月時点)だったことが判明。政府は法定雇用率(2.5%)の達成に向け、2019年中に約4000人を採用する計画。人事院が実施する筆記試験と各府省庁の面接で合否を決める統一選考試験では、このうち常勤職員676人を採用する。

 障害者の雇用を支援する「ゼネラルパートナーズ」(東京都中央区)が運営する「障がい者総合研究所」の戸田重央(しげお)所長によると、一度にこれだけ多数の採用計画が示されるのは異例だ。「(障害者にとって)国家公務員として働けることは魅力的に映るだろう。民間からの人材の流出も起こりうる」と指摘する。

 実際、11月27日の説明会に参加した精神障害のある千葉県浦安市の男性(31)は「常勤として働けたらうれしい。今の会社は契約社員なので、受験したい」と話した。

 ただし、障害雇用では一般的に、障害の違いや程度で採用に差が出るとの指摘がある。採用される人が身体障害者に偏り、職場でよりきめ細かな対応が必要となる知的や精神の障害者は敬遠されがちという。戸田所長は「採用したい層は民間も中央省庁も同じなので、人材の取り合いに拍車がかかる」と予想する。

 「脅威です」。都内にある情報通信会社の人事担当者によると、政府の採用計画が公表されてから、内定を出しても辞退する障害者が増え、応募者数も減っている。中央省庁の大量採用が「少なからず影響しているのではないか」とみている。この担当者は「民間が知的や精神の障害者を採用することは容易ではない。省庁は公的な機関だからこそできる仕事を考え、創出すべきでは」と注文する。

 統一選考では、高卒程度の知識を問う筆記試験と作文が課せられる。人事院の担当者も「知的障害のある方々には事実上、難しい試験」と認める。政府は既に順次選考が始まっている各府省庁の個別選考で知的障害者らを採用したい考えだが、どれだけの人が採用されるかは未知数だ。

 知的障害者やその家族でつくる「全国手をつなぐ育成会連合会」で統括を務める田中正博さんは「採用しやすい人から採用を進めていくことはそれほど批判されることではない」としたうえで、「採用が数合わせになっては意味がない。時間をかけてもいいので、障害者を幅広く受け入れる環境を整えてほしい」と求めた。【神足俊輔】

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