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セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ

解雇からリポーターデビューまで。一流選手のキャディー事情(PGA Tour)

情報提供:PGA Tour

WEEKLY TOUR REPORT Vol.138

松山英樹と喜びを分かち合う進藤大典キャディー Photo by Sam Greenwood/Getty Images

松山英樹が6年間タッグを組んできた進藤大典キャディーとの専属契約を終了した――というニュースが日本から届いた。進藤キャディーが専属として松山のバッグを担ぐのは、先日出場した日本ツアー、ダンロップフェニックストーナメント(11月15日~18日/宮崎県)が最後となった。

 松山がアマチュアだった頃から、日米ツアーを股にかけてバッグを担いできた進藤キャディー。松山より12歳年上だが、明徳義塾高、東北福祉大の先輩にあたり、松山が「大典さん!」ともっとも慕って、頼りにする存在だった。

 ふたりの戦いの中で、一番印象に残っているのは、松山がPGAツアーで初優勝を遂げた2014年のメモリアル・トーナメント。ケビン・ナ(アメリカ)とのプレーオフを制して、勝利を飾ったときだ。

 プレーオフひとホール目の18番。松山が勝利を決めるパーパットは、ピン上3mの微妙なラインだったが、実は「レギュレーションで同組だったアダム・スコット(オーストラリア)が打った同じラインを、進藤キャディーが覚えていた」という話を、あとから人づてに聞いた。

 勝利直後、松山も、進藤キャディーも、そのことを口にすることはなかった。両者が取り立ててクローズアップする必要性を感じなかったからなのか、その辺りの事情はわからないが、ふたりの“捉えどころ”が合致していて、そうした“裏話”がどちらからともなく漏れないところに、ふたりの信頼関係の厚さを感じた。

白いヒゲがトレードマークのベテランキャディー「フラフ」こと、マイク・コーワン Photo by Scott Halleran/Getty Images

 その後もふたりで勝利を積み重ねていったが、ここで一旦、お互いが別々の道を歩むときが来たのだろう。今回の件に関して、ふたりから発表されたコメントは、ともに「感謝しかない」という言葉だった。それこそ、お互いに思いやる、心温まるものだった。

 どんな名コンビであっても、別離のときは来るもの。ここで改めて、トッププロふたりのキャディー事情について、振り返ってみたい。

 まずは、タイガー・ウッズ(アメリカ)。プロになって22年、現在のジョー・ラカバは専属キャディーとして3人目となる。

 ひとり目は、白いヒゲがトレードマークのベテランキャディー「フラフ」こと、マイク・コーワンだった。1996年のプロ転向から2年あまりバッグを担いでいたが、記者たちからウッズのことについてコメントを求められると、わりとオープンに語っていた。そのことがあるとき、ウッズの父、故アール氏の逆鱗に触れて解雇となった。

 以降、コーワンはジム・フューリック(アメリカ)のキャディーを務め、現在もふたりは“名コンビ”として知られている。

タイガー・ウッズの全盛期を支えたスティーブ・ウイリアムスはトラブルにより解雇されてしまった Photo by Harry How/Getty Images

 ウッズのふたり目のキャディーは「スティービー」こと、スティーブ・ウイリアムス。1999年からバッグを担いで、およそ13年間、ウッズの全盛期を支えた。

 しかし2011年以降、ウッズがスキャンダルやケガなどで欠場中、アダム・スコットのキャディーを務めたことで、ウッズが一方的にクビを通告。その際、ウイリアムスは「非常にショックだった」とコメントしている。

 その後、ウイリアムスはアダム・スコットの専属キャディーとなった。そしてその間、2015年にウッズの暴露本を出版。その中で「ウッズに奴隷のように扱われた」とまで綴ってしまったことで、ウッズより、むしろウイリアムスの評判のほうがガタ落ちした。

 ウイリアムスは昨年以降、フルタイムでのキャディー業は終了。2018年は数試合だけバッグを担いで、それを最後に「40年間務めたキャディーを引退する」と発表した。現在は、母国のニュージーランドに戻って、自らがゴルフを楽しむ日々を送っているという。

 そうして、2011年からウッズの専属キャディーを務めているのが、以前はダスティン・ジョンソン(アメリカ)のバッグを担いでいたラカバ。しかし彼は、ウッズの故障などもあって、この7年間は専属とはいえ、その多くの時間をコース外で過ごすことになった。

一流選手のキャディーを勤め上げれば、その後の仕事にも困らない? Photo by Streeter Lecka/Getty Images

 ウッズからは「他の選手からオファーがあれば、そちらにいってもいいよ」と言われていたが、ラカバはひたすらウッズの復帰を待っていた。それだけに、昨季最終戦のツアー選手権(9月)でウッズが復活優勝を果たした際は、その喜びもさぞ大きかったことだろう。

 一方、ウッズの盟友であるフィル・ミケルソン(アメリカ)は昨年、「ボーンズ」ことジム・マッケイとの25年にわたる“名コンビ”を解消した。以降は、ミケルソンの弟であるティムが専属キャディーを務め、昨季のWGC メキシコ選手権(3月)では約5年ぶりにツアー優勝を果たしている。

 片や、マッケイは現在、米国内のゴルフ中継のラウンドリポーターとして活躍している。ミケルソンとのコンビ解消が発表されるや否や、およそ20分後には三大ネットワークのNBCからオファーがあったという。

 ミケルソンのバッグを担いで、メジャー5勝を含めて通算41勝を挙げた経験は、リポーター業にも大いに生きていて、それぞれの選手の特徴や攻め方などを視聴者にわかりやすく伝えるリポートぶりは、絶大な人気を得ている。

 さて、松山、そして進藤キャディーも、これからそれぞれの道を歩むことになるが、松山は「また、(進藤キャディーに)バッグを担いでもらう機会はあると思う」と話している。各々の新たな歩みに注目しつつ、いつか、ふたりのコンビ復活となる試合が見られることも楽しみにしたい。


情報提供:PGA Tour

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