メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

「壁」と世界

序章 消えぬ祖国・東独/1(その2止) 崩れる「平等」「公平」 歴史動かした統一への熱狂

ベルリンの壁崩壊当時、東独政府トップだったエゴン・クレンツ氏=ベルリンで、ザンドラ・ベルケ撮影

 

 1989年11月9日午後9時近く、東ドイツの国家元首、クレンツ国家評議会議長は1本の電話を受けた。相手は暗殺工作で恐れられた国家保安省(通称シュタージ)を率いるミールケ国家保安相。そのころ、ベルリンの壁の前に西独行きを求める群衆が大挙していた。

 「どう対処しましょうか?」。指示を仰ぐ国家保安相に対し、クレンツ氏は「何か提案は?」と聞き返した。クレンツ氏は長年、独裁者として君臨したホーネッカー国家評議会議長に代わり10月に就任したばかり。今、東独市民に国境通過を許せば政府の権威は失墜する。だが、強行鎮圧すれば血が流れる。決断に窮するクレンツ氏を部下のミールケ氏が突き放した。「指揮官はあなたです」

 80年代、ソ連や東欧諸国など社会主義国が進めた経済政策は過剰な軍備拡張や汚職などから行き詰まった。50年代製の車が高速道路を走り、テレビ画面は白黒のまま。そんな85年、社会主義の総本山・ソ連でゴルバチョフ氏が共産党書記長に就任、国の再建を目指す「ペレストロイカ」と情報公開を進める「グラスノスチ」と呼ばれる改革に着手した。

この記事は有料記事です。

残り2098文字(全文2563文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 愛知県警でクラスター発生 警察官や親族など計21人感染

  2. 児童手当受給世帯、子供1人につき1万円支給へ 政府コロナ緊急経済対策

  3. 医療従事者153人の感染判明 院内感染も発生 医療崩壊の懸念 新型コロナ

  4. 横浜の「コロナファイター」卵 研修医2人感染 3月下旬に連日同期会やカラオケ

  5. 各国で計画進むBCGの臨床試験 感染予防へ高まる期待 「命の危険」懸念も

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです