魅力満点 「大人のアイドル」躍動 30代後半から50代の女性たち 

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イベントで歌う「FRESH愛GIRL’S」のメンバーら=福岡県糸島市で
イベントで歌う「FRESH愛GIRL’S」のメンバーら=福岡県糸島市で

 30代後半から50代の女性たちによる大人のアイドルグループが誕生している。地域イベントなどで昭和歌謡を披露するグループや、オリジナル曲で地元を飛び出しライブ活動を展開するグループもある。地域の盛り上げから紅白出場まで目標はさまざまだが、大人の女性が夢を追いかけ各地で躍動している。

 福岡県糸島市では今夏、昭和歌謡を歌う大人のアイドルユニット「FRESH愛GIRL‘S」(フレッシュいとガールズ)が誕生した。同市内で11月3日にあったイベントに、メンバーのケイコさん(51)とユウコさん(39)、特別参加のアミさん(45)がおそろいの衣装でキャンディーズのヒット曲などを披露すると、会場は手拍子と笑顔に包まれた。

 結成のきっかけは、ケイコさんが自身の司会業を通じて知り合ったアイドルグループの元スタッフの言葉だった。「『介護施設から昔の歌をできないか』と要望がある。大人のアイドルグループを作りたい」。元々知り合いだったユウコさんに話を持ちかけると、快く承諾してくれた。

 ケイコさんも看護師だった20代の頃、内科病棟で寝たきりの高齢者が、敬老会などのイベントで懐かしい歌を一緒に歌って笑顔になるのを見て、いつか歌や踊りで元気づけたいと考えていた。2人は歌も踊りも素人だったが猛特訓を受け、月に1曲ずつのペースでピンクレディーやキャンディーズなどのレパートリーを増やしている。

 東京の「情熱Dream」は2年前に結成し、40、50代を中心にした19人が所属。長野や埼玉にも活動の場を広げ、目標は紅白出場を掲げる。名古屋が拠点の「Shine4ever」(シャインフォーエバー)は、赤みそを題材にしたご当地ソングなどオリジナル曲入りのアルバムを8月に発売して「日本を、世界を元気にしたい」と活動。広島の「悪女時代」は、西日本豪雨の被災地を支援するライブを開いている。

 いとガールズは、35~55歳のメンバーを募集している。ケイコさんは「歌と振り付けを覚えることが老化防止にもなっているみたい。友達から『いつ見ても元気で若いね』と言われる」とほほ笑む。問い合わせは090・8228・1444へ。【山崎あずさ】

若い人にも広がるノスタルジックな感覚

 ご当地アイドルと地域振興の関連などの研究実績がある帝京大の田島悠来助教(文化社会学)は、各地で誕生する大人のアイドルについて「若い地下アイドルなどの低賃金労働やハラスメントが社会問題化する一方、結婚や子育てなどのキャリアを積んだ女性は、趣味や副業に位置付けて落ち着いて活動に臨めるのだろう」とみる。

 さらに「昭和に流行した曲のリバイバルブームで、当時を知る同年代の人たちが『第2の人生を楽しもう』と大人のアイドルを受け入れている。そのノスタルジックな感覚は若い人にも広がり、ファンがついているのではないか」と指摘。ファン層の高齢化と多様化が盛り上がりの一因にあると分析している。

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