SUNDAY LIBRARY

岡崎 武志・評『ノマド』『天国と、とてつもない暇』ほか

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今週の新刊

◆『ノマド』ジェシカ・ブルーダー/著(春秋社/税別2400円)

 ジェシカ・ブルーダー『ノマド』(鈴木素子訳)には驚いた。ノマドとは普通「流浪の民」を意味するが、本書では「漂流する高齢労働者たち」(副題)のこと。現代アメリカ社会の一断面である。

 リタイア後にキャンピングカーに乗って移動する老人、あるいは夫婦。憧れの年金生活を優雅に満喫、と思ったら大違い。2008年の金融崩壊(リーマン・ショック)後、積みあげたキャリアも貯金も失い、住居を捨て、働きながら旅の空で生きる。著者はそんな人たちを取材した。

 彼らはガソリン代と生活費を稼ぐため、短期の雇用を求めて全米を走る季節労働者なのだ。最大の受け入れ口はアマゾン倉庫だが、1日10時間以上の労働、歩く総距離は20キロ以上という過酷さ。

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