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加藤浩子の「街歩き、オペラ歩き」

バッハとイタリア・オペラをテーマに、執筆、講演、音楽ツアーの企画など多彩に活動する加藤浩子さんのコラム。クラシックナビ連載。

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加藤浩子の「街歩き、オペラ歩き」

国境の街の瀟洒な劇場〜ストラスブール歌劇場(フランス国立ラン歌劇場)

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夜空に浮かぶストラスブール歌劇場
夜空に浮かぶストラスブール歌劇場

 それと知らずに、歴史の現場にいた。

 旅をしていると、そういうことがよくある。

 その場で気付けばいいのだが、街を離れてから思い出すこともしょっちゅうだ。頭の隅でかちゃりと音がする。鍵穴に鍵をさしこんで、ぴたりと合ったときの音。ああ、あの場所は、あの時のあそこだった!

 ごく最近そんな経験をしたのが、ストラスブールだった。

 時は1770年。オーストリア皇女マリー・アントワネットが、フランス国王ルイ16世にお嫁入りした時のエピソードだ。アントワネットは、花嫁行列の途中、国境の街ストラスブールで、フランス人になる儀式を受けることになった。場所は、街に沿って流れるライン川の中州につくられた小屋。ここで彼女は衣装をすべてフランス製のものに替え、「オーストリア皇女マリア」から、「フランス王太子妃マリー」へと変身する。小屋を飾…

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