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踏み跡にたたずんで

作品はどこに?=小野正嗣

 公園のどこにもそれらしきものはなかった。

 「それ」というのは、アート作品である。しかし、具体的にどんなものなのか、西浦氏はまったく教えてくれなかった。

 「さん」ではなく、つい「氏」など付けてしまうのは、この人の風貌のせいだ。四十代? 五十代? まずその顔で目を引くのは、カイゼルひげというのだろうか、両端がぴんと尖(とが)って跳ね上がった鼻ひげである。白髪がちらほら混じる髪は短くきれいに刈り込んでいる。紫色のシャツに黒いジャケットをはおり、細身のブラックジーンズ。足元には見るからに高価な焦げ茶のチャッカーブーツ。こちらの視線に気づいたのか、尋ねられもしないのに、英国製です、と一言。さりとて、ひげの先は得意げにぷるぷると震えたりもしない。

 しかし、見かけほど気取った人ではなかった。ご専門の領域は、と尋ねると、フィールドは南太平洋のほうで…

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