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社説

70年ぶりの漁業法改正 地元への目配りを十分に

 水産業の「成長産業化」を目指す漁業法改正案が、今国会で成立する見通しになった。

     約70年ぶりの本格改正で、漁業権の制度を見直し、民間企業の新規参入を促すほか、乱獲防止のための資源管理を強化する。

     もっとも地元漁業者の締め出しにつながっては本末転倒だ。成立しても、「利益第一」の横行を抑える慎重な運用が求められる。

     国内の漁獲量は約430万トンで、ピークだった1984年の3分の1にとどまる。約15万人の漁業者の9割以上は零細な個人経営で、その半数は60歳以上だ。

     後継者難も深刻で、何らかのてこ入れが必要であることは否めない。

     改正法では、都道府県が沿岸や養殖の漁業権を付与する際に、地元の漁協や漁業者を優先する規定が廃止される。民間企業が漁業権を得て、養殖などに参入する道を開く。

     経験豊富な漁業者と資金力のある企業が協調し、活性化を図る機会が生まれる可能性もある。

     心配なのは、漁場を「適切かつ有効に活用している」場合に限って漁協などが漁業権を継続できるとしていることだ。基準があいまいで、政府は「個々に都道府県が判断する」と説明するにとどまる。

     企業ありきの恣意(しい)的運用で、やる気のある漁業者が排除されることがないようチェックする必要がある。

     漁業者と行政との調整役として、海区漁業調整委員の制度がある。改正法では、漁業者間の選挙で選ばれていた委員が都道府県知事による任命に変わる。漁業者の声が行政に届きにくくなる事態は避けなければならない。当事者参加の間口を広げる運用を求めたい。

     資源管理を巡っては、法律で魚種ごとに漁獲上限を定める制度を拡充するとともに、漁船ごとに漁獲枠を設定する制度も導入する。

     漁船ごとに枠が確保されれば、早取り競争をする必要がなくなるため、市況の良いときに出漁するなどして、経営安定を図ることも可能になりそうだ。

     ただし、枠の配分方法が不明確であるほか、船の譲渡によって大手企業が漁獲枠を集約する道も残る。零細漁業者が不当な不利益を被らないよう、不断の点検が必要だ。

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