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社説

官民ファンドの報酬騒動 相反する使命がまねいた

 経済産業省と所管の官民ファンド、産業革新投資機構(JIC)が異例の対立劇を繰り広げている。

     発端は、9月に発足したJICの役職員報酬を巡る混乱だ。世耕弘成経産相は、官僚の「不手際」とみなし、監督責任として大臣給与を1カ月分、返納すると発表した。

     だが、事態は改善しそうにない。これを機に、むしろ官民ファンドの存在そのものを根本から問い直すべきではないか。

     JICは、批判の多い官民ファンドを立て直す狙いで政府が旧産業革新機構を改組し、発足した。トップら新経営陣を迎え、運用の強化を目指していた。

     ところが、経産省の提案を元にJICが同省に申請した報酬案が、「高額」との批判の中で、不認可となってしまう。JIC側は猛反発し、両者の信頼関係は修復し難いほど崩れたようだ。

     「官民ファンド」に内在する本質的な矛盾が噴出したといえよう。

     現在14ある官民ファンドのうち12は安倍政権下で誕生した。アベノミクスの成長戦略を担う有力部隊と位置付けられた。しかし、そのうち六つが昨年度末時点で損失を抱え、会計検査院の報告でも問題視された。

     不振の根底にあるのは、官の顔と民の顔を併せ持つ、組織の矛盾した性質だ。官の顔には、民間があえて手を出さない、つまりリスクの高い事業を支援する役目が期待されている。一方、民の顔には、効率や成果が求められ、救済や支援といった公的責任は基本的に相いれない。

     その矛盾の延長が報酬体系だろう。リスクの高い案件で投資を成功させるには、民間の有力ファンドに並ぶ水準で人材を集めることが必要になってくる。だが、報酬の大半は公的資金でまかなわれ、今回のような高額批判が起きかねない。

     政府はJIC設立を機に、クールジャパン機構など他の官民ファンドを統合させたいようだ。しかし、新社長らは新たな投資の成果を最重視する構えで、機構の運営を巡っても政府との対立は不可避だったのではないか。

     およそ形式的な対応では乗り切れない問題である。損失がさらに膨らむ前に、政府は官民ファンドの縮小・廃止の検討を始めるべきだ。

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