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「壁」と世界

序章 消えぬ祖国・東独/3 統一の日程、一気に加速

歓迎の意を表すドレスデン市民らに手を上げて応えるコール西独首相(中央)=1989年12月19日、AP

 旧東ドイツ地域にあるドレスデン市の象徴・聖母教会は第二次大戦時、連合国軍の空襲で大破した。がれきのまま放置された教会は市民に大戦の被害者という歴史観を植え付けた。

 1989年12月19日、コール西独首相はこの教会の前で演説した。「東独の人を決して見捨てない」「私の目標は統一だ」「ドイツという家は欧州という屋根の下に建設される」。西独情報にあまり触れていないため、コール氏に好意を示すと思われていなかったドレスデンの人々だったが、近代に形成された「統一国家ドイツ」を象徴するとともに、西独の国旗でもある旗を振り、熱狂した。統一は民族の「夢」から政治課題へと変わった。

 「偉大なプファルツ人」。人々はコール氏をこうたたえる。ドイツ西部ラインラント・プファルツ州に生まれ…

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