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入管法改正案成立へ 失踪が相次ぐ外国人技能実習生の実態は

家族で休日を過ごすドアンさん(右)。失踪した友人たちとは今も連絡が取れないままだ=福岡市中央区で2018年12月2日、中村敦茂撮影

 外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案が7日にも参院で可決・成立する見通しだ。政府は深刻な人手不足を背景に成立へ突き進むが、失踪が相次ぐ外国人技能実習生の実態調査は生煮え感が否めない。日本で懸命に働くベトナム人の男性も、友人2人が実習先から姿を消した。「苦しむ人を増やさないでほしい」と憂う。

     「めっちゃかわいいです」。今月初めの休日、ファム・トウルン・ドアンさん(26)は福岡市の喫茶店で、まもなく1歳となる長男を抱き目を細めた。

     ベトナム北部タイビンから6年前に留学生として来日。専門学校などを経て2016年から就労ビザで市内の自動車整備会社で働く。学費が足りず友人に借金したり、言葉の壁で運転免許の試験に4度失敗し涙したりもした。

     大分県で農業実習生だった同国出身の妻と出会い、昨年生まれた長男を励みに、今は日本での永住権取得を夢見る。だが、友人のことを思うと心が沈む。8月、同郷の2人が失踪した。

     1人は母国の高校の同級生。福岡県内の建築業者で実習生として働いていたが、機械に指を挟んで大けがをした。「病院にも連れて行ってくれない」。賃金も契約額より低く、パワハラも受けたとフェイスブックで訴えてきた。励ましの返信をし、会いに行こうとしていた矢先、連絡がつかなくなった。「逃げだした」。数日後、メッセージが届いた。

     もう1人は、愛知県の酪農会社の実習生だった。「残業代が出ない」「健康保険証は見たことがない。腹痛でも母国から持ってきた薬を飲むしかない」。こんな相談を寄せたこの友人も、会いに行く前に失踪した。「日本でいろいろ助け合ってきたのに。何もできなかった」。ドアンさんは目を伏せた。

     劣悪な労働環境などが背景とみられる外国人実習生の失踪は、今年上半期で4279人に上り、昨年を上回りそうなハイペースだ。しかし、今国会の法案審議では、政府が実習生の労働実態を詳しく調査していないとして野党側から厳しく批判されている。

     「自分が友人のような立場に置かれていたかもしれない。苦しむ人が増えないよう、行政やボランティアの人たちも連携して外国人が安心して働ける環境をつくってほしい」。ドアンさんは強く願っている。【中村敦茂】

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