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自治体に寄付すると税が軽減される「ふるさと納税」を巡り、寄付金の詐取を目的とする複数の偽サイトが存在することが明らかになった。正規サイトの画像などを無断使用し、寄付金額の大幅な割引をうたうのが特徴だ。福岡県では実際に金銭をだまし取られる被害も発生し、県警が詐欺容疑で捜査を始めた。偽サイトに返礼品が掲載された自治体は全国に広がっており、正規サイトの運営者も対策に乗り出している。ただ偽だと気付かれると閉鎖し新たなサイトを作っているとみられ、いたちごっこが続いている。【山下俊輔、柿崎誠、蓬田正志】
福岡県古賀市では3日に職員が偽サイトを発見。正規の「楽天ふるさと納税」のサイトの画像が無断使用され、食品詰め合わせなど返礼品7種が正規の35%引きで掲載されていた。市は別の偽サイト一つの存在も確認した。
これを受けて県が調査したところ、少なくとも県内12市町村の返礼品が複数の偽サイトに掲載されていた。7月には県内の女性が偽サイトを通じて同県嘉麻市に7200円を「寄付」したが、返礼品の牛肉が届かなかった。市が確認しようとしたところ、既にサイトは閉鎖されていた。振込先は個人名だったという。詐欺容疑で捜査している県警は、商標法違反など偽サイトの開設自体を立件できないかの検討も始めた。
同様の被害は全国に広がっており、北海道天塩町は10月下旬、カニやホタテなどが「2~3割引きセール」などと銘打って掲載されているのを確認した。山形県酒田市や静岡県御殿場市、京都府亀岡市、長崎県島原市などもそれぞれ確認し、各自治体のホームページで注意を呼びかけている。ただこれらは氷山の一角とみられ、古賀市が見つけた偽サイトには全国各地の返礼品が割引価格で掲載されていた。すべて偽の情報とみられる。
12月31日までの寄付が所得税や住民税軽減の対象となるため、ふるさと納税は12月に集中する。「かき入れ時に合わせて偽サイトも作られているのではないか」との指摘もある。ある正規サイトの運営会社はネット上を監視し、偽サイトなどを見つければ警察などとも連携し、閉鎖したり検索結果の上位に上がらないようにしたりする対策をしている。だが担当者は「見つけて閉鎖してはまた作られる」と頭を抱える。
偽サイトは運営会社の住所や日本語の使い方などが不自然なものもある。各自治体の担当者は「ふるさと納税に割引はあり得ず、100%詐欺だ。自治体のホームページからリンクをたどるなど正規の専用サイトを利用してほしい」と呼びかけている。