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工事の影響で水枯れ 田植え断念も 九州新幹線長崎ルート

新幹線トンネル工事の影響で川の水が減り、田植えができなかった長崎県諫早市多良見町井樋ノ尾地区=2018年12月5日、足立旬子撮影

 九州新幹線長崎ルートのトンネル建設工事で周辺河川の水量が減少し、長崎県諫早市で農家の田植えができないなど影響が出ている。工事を請け負う鉄道・運輸機構は、代わりの水源として新たに井戸を掘削しているが、十分な水は確保できておらず、農家の人たちは先行きに不安を訴えている。【足立旬子】

 「江戸時代から代々耕作してきたのに、今年初めてコメを買わなければならなかった。毎年この時期は親戚に贈っていたのに」。諫早市多良見町井樋ノ尾(いびのお)地区でコメを栽培してきた農家、草野敏さん(65)はこぼす。田に引いていた河川の水量が減り今季の作付けを断念したためだ。自宅前に広がる約3000平方メートルの棚田に、例年なら残る稲の切り株はない。

 井樋ノ尾地区は、江戸時代の長崎街道沿いにある山あいの集落。豊富な湧水(ゆうすい)で知られ、武家が休んだ茶屋や休憩地などの史跡がある。その水を利用して、農家が昔からコメを収穫してきた。ところが2月、地区の住民が井樋ノ尾川の流量が大幅に減っているのに気付いた。

 約1.4キロ離れた山では、諫早市と長崎市を結ぶ新幹線の久山(くやま)トンネル(全長約5キロ)の建設工事が進んでいた。工事が原因と考えた住民らは、市を通じて機構に調査と対策を申し入れた。

 2013年12月に着工された工事では、諫早と長崎の両側から掘削していたが、構内で出水が起きていた。川の流量が減ったのは出水の時期と重なり、周辺で沢水に影響するような工事が実施されていないことから、機構は流量減少はトンネル工事の影響と判断。今年5月、井樋ノ尾地区内に代替水源として井戸を掘った。

 しかし十分な水量の確保はできず、6月に別の井戸を掘っても状況は変わらなかった。地区内で稲作を計画していた5世帯のうち、3世帯は別の方法で水を確保するなどして、一部で田植えができたが、草野さんを含む2世帯が作付けを諦めざるをえなかった。機構は3本目の井戸を掘っており、結果についての住民説明会を近く開く予定だ。「3本目の井戸でも十分な量の水を確保できなかったらどうしたらいいのか」。草野さんは来年に向け、種もみの購入などの準備を進めているが不安は尽きない。

 機構によると県内22カ所で実施されているトンネル工事で、10カ所の周辺で河川の流量が減っているという。諫早市は久山トンネル周辺で、167戸に供給する水道の水源となる井戸の水位低下を確認。応急対策として、他の水源から水を融通している。機構は「真摯(しんし)に対応している」としている。

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