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社説

幹細胞の再生医療応用 安全性と効果の見極めを

 さまざまな細胞に変化できる幹細胞を利用し、病気や事故で傷ついた細胞や組織を治す。再生医療の実現に向けた動きが相次いで出てきた。

     京都大は10月、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った治療用の細胞をパーキンソン病の患者の脳に移植する治験を始めた。慶応大は11月、脊髄(せきずい)損傷の患者を対象とした臨床研究計画を学内審査機関が承認した。これとは別に、厚生労働省は幹細胞を利用した脊髄損傷のための「再生医療製品」の製造・販売を認める見通しだ。

     いずれも、これまで根治療法がなかっただけに、期待は大きい。患者にとっては一歩前進だろう。

     一方で、治験や臨床研究は安全性の確認が主な目的であり、再生医療製品も効果の確認はこれからだ。

     過剰な期待はせず、慎重に安全性や有効性を確かめたい。それぞれの治療の長所・短所をきちんと評価し、見極めることも大事だ。

     脳内の特定の神経細胞の減少で起きるパーキンソン病は、手足を動かしにくくなったり、震えが起きたりする疾患で、国内に約16万人の患者がいる。研究チームは京大が作製・備蓄している他人由来のiPS細胞から作った神経のもとになる細胞を移植。これが患者の脳で神経細胞となり、欠けている物質を出して症状を緩和するのがねらいだ。

     慶応大も、他人由来の備蓄iPS細胞から神経のもととなる細胞を作り、脊髄損傷から2~4週間経過した患者4人の損傷部位に移植する。

     これらはいずれも、未熟な細胞を使うため、腫瘍化するリスクは見逃せず、十分な経過観察が欠かせない。また、両者とも拒絶反応を防ぐために免疫抑制剤の投与が必要となり、その副作用にも注意がいる。

     一方、脊髄損傷の「再生医療製品」は、患者の骨髄液から幹細胞を採取し、培養して患者の静脈に戻すことで機能改善をめざす。自分の細胞を使うため免疫抑制剤は不要で、がん化のリスクも低いと見られるが、有効性は未知数で、これを確認するのが今後の課題だ。

     再生医療の実用化には期待がかかるが、医療費が高額になることも懸念されている。医療費をどう抑えていくかの検討も、技術開発と併せて必要だ。

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