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社説

中央省庁の障害者雇用 採用試験の間口広げよう

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 中央省庁による障害者雇用の水増し問題を受け、政府は初の障害者限定の国家公務員採用試験(統一選考試験)の受け付けを始めた。

 水増し分を除いた省庁の障害者雇用率は昨年6月時点で1・18%に過ぎず、法定雇用率(2・5%)を大幅に下回るため、2019年中に約4000人を採用するという。

 民間企業の雇用率は近年伸びている。さらに今春から法定雇用率が引き上げられ、都市部では求職中の障害者が足りない状況だ。中央省庁の大規模な採用で、障害者が流出することを懸念する民間企業もある。

 障害者雇用の枠内で採用希望が多いのは身体障害者だ。車いす用トイレやスロープがあれば障害のない従業員と同じように働ける人は多い。民間企業が優先的に採用してきたため、身体障害の求職者がほとんどいない地域もある。

 多くの自治体が障害者雇用の対象を身体障害に限定し、知的障害や精神障害の人を排除していることも問題となっている。財務省と国税庁はホームページの障害者向け非常勤職員募集に「自力で通勤できる」「介護者無しで業務遂行が可能」を付していたことが批判された。

 特定の障害を理由に採用しないこと、資格を与えないことは障害者差別に当たる。現在、政府は180以上の法律にある差別的な「欠格条項」の削除に取り組んでいる。その流れを考えれば、財務省が批判を受けて自力通勤などの条件を削除したのは当然のことだ。

 統一選考試験では高卒程度の知識を問う筆記試験と作文が課せられる。今回は常勤職員676人を採用するためというが、知的障害者の排除につながるとの批判もある。

 民間企業は知的障害や精神障害の人にできる仕事を用意したり、障害特性に合った指導方法や職場環境を取り入れたりしている。こうした「合理的配慮」が法律で義務づけられているためでもある。

 実際、高卒程度の学力に届かない障害者を多数雇用し、さまざまな工夫や配慮によって貴重な労働力に育てている企業も多い。

 中央省庁こそ採用の間口を広げるべきだ。障害者への合理的配慮に努め、水増し問題で失った信頼を回復しなければならない。

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