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湯川豊・評 『帰れない山』=パオロ・コニェッティ著、関口英子・訳

 (新潮クレスト・ブックス・2214円)

 自然描写がすばらしい。それは日本の現代小説ではほとんど見かけなくなったものだが、ここでは北イタリアの山岳地帯の自然が生きている。語り手である僕(ピエトロ)が十一、二歳頃に知りあった山の少年ブルーノが成長してゆく、その生き方のなかに自然が現れるのを見る。だからこの長篇小説は、山の物語でもあり、山と人間の物語でもある。

 ピエトロの父はミラノに住む勤め人だが、山村に育った男らしく大の山好き。北イタリアのモンテ・ローザ山群を望むグラーナ村で一家が夏を過ごすようになる。ピエトロはそこで同い年のブルーノと知りあい、共に遊ぶようになった。といっても、山棲(ず)みの貧しい少年は牛飼いの手伝いなどをして働かざるを得ない。黙々と働いて、しだいに山の男になってゆく。

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