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馬場正男と撮影所・京都カツドウ屋60年

勝田友巳記者が、京都の撮影所と共に人生を歩んだカツドウ屋が見てきた映画戦後史をひもときます。火曜日更新。

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馬場正男と撮影所・京都カツドウ屋60年

/195 もったいない精神

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 1990年代の松竹、京都映画で、馬場正男は美術管理として大活躍する。美術監督の構想を実現するため、必要な資材や人手を手配するのが仕事だ。馬場は限られた予算でいかに見栄えのするセットを造るか、知恵を絞った。極意の一つは“もったいない精神”。「あるもんを使うんさ。腐った木でもね、それらしく作ったのと自然に腐ったのと、全然ちゃいます。火事現場や空襲の後の場面で、焼け残りの柱があるでしょ。ほんとに焼けたもんは、あちこち欠けてます。作り物は黒く塗ってあるだけ。一目で分かる」

 撮影所を一回りして、時には隣の東映まで足を延ばし、使えそうな資材を見つけてくる。どこに行けば何があるか、馬場の頭の中の地図に書き込んである。「いつ使うかわからんものは置いときにくいけど、やっぱり大事にしたほうがええ。会社は汚いとか場所取るとかで捨てろと言うけどね。古いもんは、作れへん。作ったって、あんまりええもんはでけへん」

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