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社説

ゴーン前会長起訴・再逮捕 「裏報酬」の実体が焦点だ

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 裏の役員報酬を将来的に支払うことが確定していたのかどうか。そこが最大の焦点になる。

 役員報酬を過少に記載したとして、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者が起訴された。

 2014年度までの5年間、高額報酬への批判を避けるため、約100億円だったゴーン前会長の役員報酬の有価証券報告書への記載を約50億円にとどめた罪だ。残額は退任後に受け取る仕組みになっていた。

 ゴーン前会長は、直近3年分の虚偽記載でも再逮捕され、報酬隠しの立件額は約90億円に上る見込みだ。

 企業の役員は、業績などに応じて報酬を得るのがあるべき姿だ。有価証券報告書の記載によって、投資家は企業の姿勢をチェックする。10年から、1億円以上の高額報酬を得た役員の氏名と金額の開示が義務づけられたのは、そのためだ。

 虚偽記載は投資家の判断を誤らせる可能性がある。倫理的に許されない行為である。

 ただし、事件の構図はそう簡単ではない。

 ゴーン前会長は、退任後に受け取る金額を一覧にした文書を毎年作成し、一部側近と共有し箝口(かんこう)令を敷いていた。東京地検特捜部は、文書の存在や、司法取引に応じた側近の証言を重要な証拠とみている。

 一方、ゴーン前会長は、一部を退任後に受け取る計画があったと認めながらも単なる希望額だとし、受け取りは確定していないとの主張だ。裏報酬が実際には積み立てられていないことも指摘している。

 このため、裏報酬が「将来得べかりし利益」と言えるかどうかが争点になる。役員報酬の虚偽記載がこれまで刑事事件になった例はない。ゴーン前会長には、自身を含めた役員報酬額を決める権限があったとされ、捜査のメスが入った意義はある。

 事件を巡っては、長期にわたる勾留など日本の刑事手続きへの批判がフランスなど海外で起きた。

 勾留期間の長さは、司法制度の違いに起因し、一概に日本が長いとは言えない。ただし、取り調べへの弁護人の立ち会いなど、欧米の先進国で認められていながら、日本では原則的に採用されていない取り組みもある。国際化が進む中で、刑事司法手続きも不断の見直しが必要だ。

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