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医学部の不適切な入試が、新たに明らかになった。
順天堂大医学部が、女子と浪人生を不利に扱い、合格ラインに達していた受験生を不合格にしていた。今年と去年で165人に上る。面接を行う2次試験の評価では男女で異なる合格ラインを設定していた。
驚くべきは、その理由だ。「女子はコミュニケーション能力が高いため、補正する必要がある」「20歳を過ぎると差がなくなるというデータがあり、男子学生を救う発想だった」というものだ。
順大は、文部科学省の調査に対し不正を否定し、調査に当たった第三者委員会にも、性差を正当化するような学術論文を提出したという。だが、この弁明は開き直りに等しい。
医学部1年生は全員寮生活を送る。順大は、女子寮の収容能力の限界も女子合格者抑制の理由に挙げたが、新たな寮の完成後も、判定基準は変わらなかった。
順大は、過去6年間の入試の平均合格率が男子9・2%に対し、女子5・5%だった。医学部を置く全国81大学で最も格差が大きかった。
無理な理屈をつけてでも女子の合格を抑えたかったのはなぜか。東京医科大が女子受験生の得点を一律減点していた問題では、系列病院の女性医師の離職率の高さが理由に挙げられた。そうしたことが背景にあるならば、女性医師が働きやすい環境整備をすべきだ。入試で女性を差別する理由にはならない。
この時期まで不正の公表がずれ込んだのも極めて問題だ。先週末以降、金沢医科大や北里大なども不適切な入試があったことを発表した。
入試の出願は始まっている。順大では、不正に伴う追加合格者のうち入学者数を来年の募集定員から差し引く。受験生への影響は大きい。
文科省が大学の自主的な公表に任せたことも問題を長引かせる原因になった。受験生の立場に配慮すれば、もっと早く対応すべきだった。
一連の医学部入試不正を受け、「全国医学部長病院長会議」は先月、性別や年齢で合否判定に差をつけることは不適切とする規範を公表した。来年入試から国公私立大の別なく規範に基づく入試が行われる。大学は、公正な入試を行う社会的な責任があることを改めて自覚すべきだ。
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