【パリ賀有勇】フランスで燃料税引き上げへの反発から始まった抗議デモが続く中、マクロン仏大統領は10日、テレビ演説で最低賃金の引き上げなどの譲歩策を提示した。「高慢な大統領」と批判されるが、生活向上を求める労働者や年金生活者など、社会的弱者にどこまで受け入れられるかがデモ鎮静化のカギとなる。
マクロン氏は演説で「国民の深い怒りは正当なものだ」と理解を示し、最低賃金を現在の手取り月額1185ユーロ(約15万円)から企業負担なしで100ユーロ増額▽今年のボーナスと来年の残業代の非課税化--などを表明。高所得者への富裕税の再導入は、投資を阻害するとして否定したが、大幅な譲歩となった。
財源についての言及はなく、財政再建に影響するのは必至だ。それでも譲歩する背景には、経済に深刻な影響を与えているデモを鎮めることに加え、不満を抱く中心にいる社会的弱者に耳を傾ける姿勢を示すことで更なる求心力低下に歯止めをかける狙いがある。今の国内情勢では、欧州統合の深化のけん引役を担うどころではないためだ。
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