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松橋事件/上 布片、再審の扉開く 証拠開示、法制化求める声

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熊本地裁による再審開始決定後、斉藤弁護士(中央)から声をかけられる宮田さん。左は三角弁護士=熊本市中央区で2016年6月30日、和田大典撮影
熊本地裁による再審開始決定後、斉藤弁護士(中央)から声をかけられる宮田さん。左は三角弁護士=熊本市中央区で2016年6月30日、和田大典撮影

 「これ、つなぎ合わせてみましょうよ」。1997年9月、熊本地検の一室で松橋(まつばせ)事件の弁護団の一人が提案した。弁護団はこの日、再審請求に向け検察から開示された事件の証拠約100点を精査していた。机にはチェック柄の布片5枚が並んでいる。1着の長袖シャツが復元できた瞬間、全員が目を見張った。

 熊本県宇城(うき)市(旧松橋町)で85年1月に男性が刺殺された松橋事件。殺人罪などで服役し、今年10月に再審開始が決定した宮田浩喜(こうき)さん(85)は逮捕後、「シャツの左袖を(凶器とされる小刀の)柄に巻き付け、犯行後に燃やした」と自白していた。自白が正しければ左袖を燃やした長袖シャツを復元できるはずがない。凶器に巻き付けていれば付着するはずの血痕もなかった。

 「これはひどい」。当時弁護士経験10年未満で再審請求に携わるのも初めてだった三角恒(こう)弁護士(65)は、検察側の立証の根幹が崩れたと確信した。同時に宮田さんの国選弁護人を務めた父秀一(しゅういち)さん(99年に死去)の「宮田さんは無罪だよ」という言葉を思い出した。

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