連載
相模原市の障害者施設で元職員が入所者ら46人を殺傷する事件が起き、障害者は不幸だと決めつけるような容疑者の供述が社会に衝撃を与えました。それでも福祉や介護、医療などの現場では、共生を願い、誇りとやりがいを持って当事者のそばに寄り添う人たちがいます。「Stand by you! そばにいるよ」では、これからを担う世代の奮闘を紹介していきます。
「1Q84」きっかけに教える側へ 点字指導員 和泉枝里さん(34)
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

和泉(わいずみ)枝里さん
生まれつき全盲の彼女がこの仕事に就いたきっかけは、村上春樹の小説「1Q84」だという。
テレビから聞こえるタイトルは「イチ、キュー、ハチ、ヨン」。すべて数字だと思っていた。アルファベットの「Q」が入ることは、読んでみようと点字に触れた時に初めて知った。「9」と「Q」を区別しないと、物語を心から味わえない。「文字が読めるってこういうことか」と得心した。重視していなかった点字の見方が一変し、教える資格を取った。
職場は東京ヘレン・ケラー協会が運営する点字図書館(東京都新宿区)。点字図書の製作を担い、ボランティアの点訳も校正する。ただ、就職してまだ2年目。表や図はどんなふうに点訳で処理するかなど試行錯誤も多く「実践をもっと積まないと」と精進する。
この記事は有料記事です。
残り259文字(全文596文字)