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枯れ山水に治水効果 防災対策の「雨庭」造りに期待も

研究グループが調査した相国寺裏方丈庭園の枯れ流れ(2017年8月22日午前10時10分撮影)=山下三平教授提供

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 枯れ山水に治水効果あり――。九州産業大の山下三平教授(河川工学)や京都大の森本幸裕名誉教授(環境デザイン学)らの研究グループが、京都市上京区にある相国寺(しょうこくじ)の枯れ山水庭園を調査したところ、総雨量で430ミリが降っても貯水できる機能があることが分かった。浸透機能を加えると2倍の雨が降っても処理できる可能性があるという。雨水を地下に浸透させる防災対策として注目される「雨庭」造りに生かせるとみて調査を進めている。

     京都御所の北側にある相国寺は室町時代に建立された。度重なる火事で多くの建築物が焼失したが、1807年に住居となる方丈などが再建された。調査したのは、同時期に造られたとみられる市指定名勝の裏方丈(うらほうじょう)庭園(430平方メートル)。渓流に見立てて掘られた溝に小石を敷き詰めた長さ約30メートルの枯れ流れが特徴だ。

     「雨が降っても庭園に水があふれたことがない」と聞いた山下教授が「デザインだけではなく水処理も考えられて造られたのでは」と庭園の治水能力についての調査を発案。グループは相国寺の協力を得て、高性能カメラで撮影した画像や航空写真などから庭園の三次元モデルを作った。その分析から、庭園の貯水量は計約300トンあり、寺院の屋根から庭園に流れ込む雨水も考慮すると、総雨量で430ミリが降っても水があふれないことが分かった。

     さらに昨年5~8月に定点ビデオカメラ3台を設置し、降雨時の枯れ流れの様子を断続的に撮影。観測期間中で降水量がピークになった時点でも枯れ流れにたまるはずの雨水の体積は想定の約半分しかなかった。もう半分は地下に染み込んだとみられ、高い浸透機能と貯水機能を合わせると、日本の年間平均降水量1600ミリの約半分に当たる計850ミリの雨が降っても庭園から水があふれない可能性があることも分かった。

     庭園は市指定名勝のため掘削ができず地下構造は不明だが、同志社大が30年前にまとめた近隣の発掘調査から、庭園にはかつて鴨川から京都御所に水を引く堀が通っていたとみられ、枯れ流れはその一部と考えられるという。研究グループは真如寺(京都市北区)や光明寺(福岡県太宰府市)の枯れ山水の機能も調査する予定だ。【蓬田正志】

    ゲリラ豪雨対策で注目される「雨庭」

     近年頻発するゲリラ豪雨対策として注目されているのが「雨庭」だ。雨庭は屋根や道路に降った雨水を一時的にため、時間をかけて地中に浸透させる構造の植栽空間のこと。こうした雨庭を数多く設置することで、側溝や下水管などがあふれて内水氾濫を起こすのを防ぐことができる。

     都市部では多くの緑地が失われており、昆虫や鳥類などの生息場所としての効果も見込まれる。下水道整備のように巨額の費用を必要とせず、自然の持つ防災効果を生かした都市型の「グリーンインフラ」として欧米では積極的に整備が進められており、国内は札幌や横浜、京都市などで導入された例がある。

     近世に造られた枯れ山水の庭園にも雨庭のような治水機能があるとみられ、山下教授は「数百年前の庭師の工夫は現代日本にも通用する。伝統的な寺院の雨水の処理方法から学ぶところは多いはずだ」と話す。

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