メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

欧州ニュースアラカルト

伝統か人種差別か 冬のオランダを分断する黒塗り論争

人種差別か伝統か。オランダで論争が続く黒塗りの「ズワルト・ピート」=AP

 オランダの子供たちにとって12月5日は特別な日だ。赤い冠とマントをまとい、白く長いひげをたくわえたシンタクラース(聖ニコラウス)がプレゼントを届けにやってくる。オランダ移民と共に開拓時代の米国に伝わったこの風習は、「サンタクロース」に姿を変えてクリスマスの象徴として定着したとされる。子供たちに夢を届けるシンタクラースは例年、オランダ国内を二分する論争の火種も運ぶ。それは顔を黒塗りにしたズワルト・ピート(黒いピート)と呼ばれる従者の存在だ。

 伝承によるとシンタクラースは11月半ばにスペインから蒸気船に乗って到着し、白馬とピートを従えてプレゼントを配る旅に出る。19世紀半ばに出版された絵本がこの設定の元になっているようだ。この時期、オランダ各地でシンタクラースの到着を祝うパレードが行われる。多くの場合、従者のピートは白人が顔を黒く塗り、唇を赤く誇張したメークに縮れ毛のかつらをかぶって仮装する。黒塗りのピートが「人種差別」にあたるとして反対派は容姿を変えるよう求めているが、「伝統」を重視する強硬な擁護派は受け入れない。

 反対派のグループは今年、黒塗りのピートを公共放送の番組に登場させないよう裁判を起こしたが、11月半ばに棄却された。地元メディアによると、判決は反対派と擁護派双方の立場に配慮を示した上で「議論を続けることの重要性」を説いたという。

この記事は有料記事です。

残り1662文字(全文2241文字)

八田浩輔

ブリュッセル支局 2004年入社。京都支局、科学環境部、外信部などを経て16年春から現職。欧州連合(EU)を中心に欧州の政治や安全保障を担当している。エネルギー問題、生命科学と社会の関係も取材テーマで、これまでに科学ジャーナリスト賞、日本医学ジャーナリスト協会賞を受賞(ともに13年)。共著に「偽りの薬」(毎日新聞社)。Twitter:@kskhatta

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 「もう一度めぐみを…」 講演1400回、署名1300万超…声を力に訴え続け 横田滋さん死去

  2. ORICON NEWS 生田斗真&清野菜名が結婚発表「お互いを支え合いながら共にこの危機を乗り越え」

  3. 自衛隊員の「テンピン停職」知りながら…法務省、黒川氏処分の「参考にせず」

  4. 「赤福」が暴力団代紋入り焼酎を製造 浜田会長が辞任 2000年から12年まで納品

  5. 「9月入学」狂騒曲 首相「指示」で始まったが…文科省幹部「最初から無理だと」

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです