MBSドキュメンタリー 過剰なバッシングの実情と発信源を探る

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ドキュメンタリー番組「映像’18 バッシング~その発信源の背後に何が~」の一場面。バッシングを受ける法政大学の上西充子教授=MBS提供 拡大
ドキュメンタリー番組「映像’18 バッシング~その発信源の背後に何が~」の一場面。バッシングを受ける法政大学の上西充子教授=MBS提供

 匿名の人々がインターネット上で繰り広げる過剰なバッシングの実情と発信源の正体を探るテレビドキュメンタリー番組「映像’18 バッシング~その発信源の背後に何が~」が16日深夜(17日午前)1時5分、MBS(毎日放送)で放送される。

ドキュメンタリー番組「映像’18 バッシング~その発信源の背後に何が~」の一場面。3000件に及ぶ懲戒請求の書類を手にする佐々木亮弁護士=MBS提供 拡大
ドキュメンタリー番組「映像’18 バッシング~その発信源の背後に何が~」の一場面。3000件に及ぶ懲戒請求の書類を手にする佐々木亮弁護士=MBS提供

 番組は、突然バッシングのターゲットになった人たちを訪ねる。ジェンダー論を専門とする大阪大大学院の牟田和恵教授は、科研費(科学研究費補助金)を巡り中傷を受けるようになった。きっかけは今年2月、自民党の杉田水脈(みお)衆院議員が衆院予算委員会分科会で、「徴用工」や「慰安婦」に関する研究に「なぜ税金を投じているのか」という質疑を行ったこと。杉田氏はその後ツイッターで牟田教授を名指しし、研究内容を「捏造(ねつぞう)」などと書き込んだ。この発言は保守系のツイッターアカウントにより拡散され、阪大には匿名のクレーム電話が入るようになった。「研究を捏造と言われるのは研究者生命に関わる重大な誹謗(ひぼう)中傷」と牟田教授は訴える。杉田氏は番組の取材に何と答えるのか。

 「アカデミックに問題を指摘したら深い闇が見えてきた」と語るのは法政大の上西充子教授だ。働き方改革法案の国会審議で、安倍晋三首相が答弁で引用した厚生労働省のデータの不備を指摘したことからバッシングを受け始めた。閣僚や官僚による答弁の論点ずらしを「ご飯論法」と表現し、その言葉が今年の「現代用語の基礎知識選 ユーキャン新語・流行語大賞」のトップ10に入ると、バッシングはさらに増えた。

 東京弁護士会の佐々木亮弁護士は昨年6月以降、特定のブログによる扇動を背景に、身に覚えのない理由で約3000件に及ぶ懲戒請求を受けた。番組ではブログ執筆者やブログを書籍化した出版社への取材を試みる。

 バッシングの構図に迫る取材を行った制作者にも、ネット上でバッシングが広がっているという。取材を担当したMBSの斉加尚代ディレクターは「ネット上を漂う情報の発信源は誰なのか、背後にどういう力が働いているのかを見極めてほしい」と話している。【倉田陶子】

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