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モリシの熊本通信

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コミュニティー形成で孤立を防ぐ /佐賀

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 熊本地震から2年8カ月。最近ではニュースとして報じられることがめっきり少なくなり、風化を感じる。しかしながら、今も多くの人々が仮暮らしを続けており、さまざまな悩みや不安を抱えながら生活している。

 こうした状況を受け、熊本県菊陽町内の「みなし仮設」などで生活する熊本地震の被災者らの孤立を防ごうと、地域住民らが訪問する「地域交流プロジェクト」が今年、始まった。プロジェクトは、熊本学園大の高林秀明教授と同町地域支え合いセンターが取り組むもので、地域住民やボランティアが、7~9月に41世帯を訪問。熊本地震後の生活や今後の生活の見通しなどを聞き取った。

 具体的にどういった声が聞かれたのか。今月初旬、プロジェクトの報告会が開かれると聞いた私は、会場に足を運んだ。

 この日の報告によると、地震後に家族や本人が体調を崩したのは21世帯にのぼったという。ほかにも、相談相手がいなかった、知り合いがいない環境が精神的につらかったといった声が聞かれ、みなし仮設での生活が孤立を生んでいる実態が明らかになった。「(訪問が)心の支えになったと言ってもらえてうれしかった」「気楽に話してくれた」。報告会に参加した地域住民らが口にした感想だ。双方が交流を歓迎する様子が伝わってくる。

 報告資料は、プロジェクトの最大の目的を、聞き取ることではなく「孤立を防ぐこと」としている。孤立を防ぐということは、すなわち地域のつながりを取り戻す、もしくは生み出すということ。今後も続くというプロジェクトに、こうした働きを期待したい。


 ■人物略歴

 田中森士(たなか・しんじ)

 マーケティング会社「クマベイス」(熊本市)代表取締役、ライター。熊本県立高常勤講師、全国紙記者を経て古里の熊本市で起業した。熊本地震後は、復興支援活動に携わりながら、執筆やイベントを通し、被災地の現状を伝えている。モリシは愛称。熊本市南区在住。

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