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社説

辺野古の土砂投入始まる 民意は埋め立てられない

 わずか2カ月半前に示された民意を足蹴(あしげ)にするかのような政府の強権的姿勢に強く抗議する。

     米軍普天間飛行場の辺野古移設工事で、政府は埋め立て予定海域への土砂投入を開始した。埋め立てが進めば元の自然環境に戻すのは難しくなる。ただちに中止すべきだ。

     9月末の沖縄県知事選で玉城デニー氏が当選して以降、表向きは県側と対話するポーズをとりつつ、土砂投入の準備を性急に進めてきた政府の対応は不誠実というほかない。

     名護市の米軍キャンプ・シュワブのゲート前では移設反対派が抗議活動を行ったが、土砂の搬入に抵抗しようにも手出しのできない海路で事前に運び込まれていた。そのために民間の桟橋を使う奇策まで講じ、力ずくで工事を強行したのが政府だ。

     そこまでして埋め立てを急ぐのは、来年2月の県民投票までに既成事実化しておきたいからだろう。反対票が多数を占めても工事は進めるという政府の意思表示であり、国家権力が決めたことに地方は黙って従えと言っているのに等しい。

     政府側は県民にあきらめムードが広がることを期待しているようだが、その傲慢さが県民の対政府感情をこわばらせ、移設の実現がさらに遠のくとは考えないのだろうか。

     実際、移設の見通しは立っていない。工事の遅れに加え、埋め立て海域の一部に軟弱地盤が見つかったからだ。県側は軟弱地盤の改良に5年、施設の完成までには計13年かかるとの独自試算を発表した。

     それに対し政府は2022年度完成の目標を取り下げず、だんまりを決め込む。工事の長期化を認めると、一日も早い普天間飛行場の危険性除去という埋め立てを急ぐ最大の根拠が揺らぐからだろう。10年先の安全保障環境を見通すのも難しい。

     結局は県民の理解を得るより、米側に工事の進捗(しんちょく)をアピールすることを優先しているようにも見える。

     沖縄を敵に回しても政権は安泰だと高をくくっているのだとすれば、それを許している本土側の無関心も問われなければならない。

     仮に将来、移設が実現したとしても、県民の憎悪と反感に囲まれた基地が安定的に運用できるのか。

     埋め立て工事は強行できても、民意までは埋め立てられない。

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