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華恵の本と私の物語

/29 きままな娘 わがままな母

いまからるって-

    -いいじゃん!-

    いえらかってるの-

    いますぐそうじ。いそげ!-

     ラインの相手あいてははだ。いまからわたしのいえにくるのは、近所きんじょ太田おおたくん。

    きじゃないよべつに-

    -はいはい。いいから-

     25さいにもなってははにこんなはなしをするわたしもどうかとおもう。でも、こころかないとき、どうしても連絡れんらくをしてしまう。

     太田おおたくんは5ふんもしないうちにきた。

    -チャイムった!またあとでね-とははにラインをおくってわたしは玄関げんかんはしった。

     1時間じかん

    -ハロー-

    -お。かえったの?-

    -うん。太田おおたくん「コーヒーみたいな」なんてってきたよ。最近さいきんちゃしかいえにおいていないからあせった-

    -あんた、コーヒーくらいいえにおいておきなよ-

     親子おやこ会話かいわというより、まるで女子じょしトークだ。

    太田おおたくん、ときどき不思議ふしぎくんってかんじなんだよ-

    -そういうところが、あんたとうとおもうけど。長居ながいしないでかえるって、さっぱりしていて、いいじゃん-

     はは持論じろん展開てんかいしていく。わたしはあいまいなあいづちをうつ。

     これでも、4かげつまえにひとりらしをはじめたところだ。ははは、おな東京とうきょうなのに、なんで別々べつべつまなければならないの、ともう反対はんたいした。でも、ずっとはは二人ふたりらしてきたわたしは、どものころからのゆめが、ひとりらしだったのだ。自立じりつしたい。毎日まいにちのようにははにガミガミおこられるのはいやだ。「おかあさんと一緒いっしょなんてもうえられない!」とまでっていえた。ははもひとりになるので、すこせまいところへ引っ越(ひ こ)した。頑張がんばってはなれたのだ。にもかかわらず、こい相談そうだんをするなんて……。

     でも、そういう親子おやこ関係かんけいも、案外あんがいあるみたいです。

      + + + + 

     「きままなむすめ わがままなはは」の主人公しゅじんこう沙羅さらも、おかあさんとの距離きょりちかいです。おとうさんがくなって、おとうといえて、沙羅さらはおかあさんと二人ふたりらしていました。こいをしたり、おかあさんが病気びょうきになって入院にゅういんしたり、おとうと結婚けっこんがあったり、日々ひびいろんなことがこります。そのなかでおかあさんとけんかになることもあります。大人おとなになると、おかあさんはなぜかよわく、ときにずるくなります。きびしかったおかあさんだと、それが余計よけいにいらだたしくかんじられます。それでも、おかあさんの意見いけんやリアクションがないと安心あんしんできない沙羅さらがいるのです。

     わたしもおなじだ。そうおもってこの一文いちぶんんだとき、不思議ふしぎなみだがあふれました。

    結局けっきょくのところ、ははきだった」

     大人おとなになったからこころさるのかな……。みなさんは、このほんんだら、どうかんじますか。


    『きままなむすめわがままなはは

    藤堂志津子とうどうしづこちょ

    集英社文庫しゅうえいしゃぶんこ 702えん


     エッセイストの華恵はなえさんが、ほんにまつわるおもきなほん紹介しょうかいします

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